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北海道建設新聞社
2018/10/11

【北海道】モンゴルと日本の架け橋に モンゴル協会 河村有泰会長

 6月に「一般社団法人モンゴル協会」を設立したアリヤス設計コンサルタント(本社・札幌)の河村有泰会長。少子高齢化や人口減少が深刻化する中、モンゴルと日本の架け橋となることで、農業、介護、建設の各分野での担い手確保を目指す。取り組みに対する思いを聞いた。
 ―モンゴル協会とは。
 アリヤス設計コンサルタントは、2017年に創業50周年を迎えた。公共事業で世話になった各市町村に、私の余生で恩返ししようと考えた。モンゴルと日本の架け橋になることで、地域の人口減少問題は解決できると思う。
 モンゴルは人口300万人で、産業がほとんど無く貧しい国。しかし、若い人の多くは誠実かつ勤勉で、親日だ。
 モンゴル国立医科大のニャム学長とモンゴル生命科学大のブヤンザヤ副学長、モンゴル工業技術大(日本式モンゴル高専)のセルゲレン総長らに協会の理事を務めてもらっている。モンゴル人学生を迎える入り口であり、就職で送り出す出口にもなれば幸いだ。
 ―具体的な担い手育成策は。
 農業と介護、建設の3分野で担い手を確保するため、上川と空知、日胆、道南の4地域で専門学校の開校を目指す。前段として、10月にモンゴルの男女4人を東川町の旭川福祉専門学校へ短期体験入学で留学させる。
 モンゴルで医者や看護師を目指す医療大学法人の学生は看護学科で、介護の学科はないものの、学長いわく「准看護師の知見が日本の介護士の業務に役立つのではないか」。このうち180人ほどが来日したいと言っている。入国に必要な語学力を付けてもらい、たくさん来てもらえればと考えている。
 来春には仮称・日胆学園を開校しようと考えている。実習型の修学制度を用い、日胆地区の農業の生産効率を高めたり、担い手確保につなげたい。管内12農協の組合長の連名で、開校に関する要望書を道へ提出した。軽種馬や畜産など地域の農業を持続・発展させるための学校にしたい。
 ―取り組みの課題は。
 モンゴル人が日本で働くためには、日本語の習得が一番の壁となる。介護分野で外国人に働いてもらうには、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる「N2レベル」以上が必要だ。
 対策として、モンゴル工業技術大学内に日本語学校を作り、来日を希望する学生に必要な語学力を身に付けてもらおうと思っている。開校を目指している道内4地域の専門学校にも日本語学校を併設させたい。全て姉妹校としてモンゴル協会が資金支援する。
 ―500人以上のモンゴルの学生を迎えることを目標に掲げている。
 3年後、モンゴルから農業分野で300人、介護と建設分野で各100人の計500人を来日させようと考えている。18―19年に第1弾として100人ぐらいを迎え入れたい。農業で50人、介護と建設で各25人ほどだ。
 モンゴルから成田までの飛行機代は6万円ほどで、ビザ取得を含めると一人当たり10万円ほど掛かる。年間100人を呼ぶ計画なので、費用は約1000万円。全額をモンゴル協会が負担する。
 日胆学園では日本一の馬産地にある学校として、地域だけでなく競馬産業にもさまざまな活動による寄与を検討している。関係各所からの協賛、寄付を募りながら地域、産業一体となる学校の取り組みを理解してもらえればと考えている。
 ―学生の宿泊施設確保については。
 富良野は農業の担い手を確保するため、市が土地を購入して施設を建て、地域農協と連携して運営している。そうした方法を参考に、自治体から遊休施設や土地を寄付してもらい、そこに学生用の寮を造ろうと考えている。上川、空知、道南の市町村から寄付の話がある。
 ―今後の抱負を。
 私の人生哲学は両手の合掌にある。右手の5本指は「ありがとう」の感謝、左手の5本指は「しあわせに」という施しを示す。施しに基づき、自治体へ寄付をしたり担い手の育成に汗を流している。
 協会の取り組みは、私利私欲ではない。5年、10年たったとき、地域に対してどのような成果を出すか注目してほしい。
 河村有泰(かわむら・なおひろ)1945年4月23日生まれ、札幌市出身。67年アリヤス設計コンサルタント創業。18年6月にモンゴル協会を設立し、代表理事会長を務める。