東京都住宅政策審議会(会長・浅見泰司東京大学大学院教授)は、高齢単身世帯の増加や住宅に困窮する子育て世代・若年層への対応など社会情勢の変化を見据えた「都営住宅の新たな管理制度」の検討を開始した。10月4日に開いた2018年度の初会合で小池百合子知事からの諮問を受け、都営住宅ストックを有効活用し、さまざまな世代が共に暮らす「多世代共生」を実現するための施策について企画部会を中心に検討することなどを確認した。19年2月ごろ中間まとめを行い、5月をめどに答申する。
都営住宅でも75歳以上の世帯が全体の4割を超え、その半数が単身世帯となっているという。今後も入居者の高齢化・単身化が進むことが見込まれることから、単身の高齢者が安心して暮らすことのできる環境整備が求められている。
また、子育て世帯への支援策として、ファミリー世帯受けに期限付き入居や入居期間限定なしの募集など制度改革を進めているが、いまだに母子世帯など住宅に困窮する子育て世帯が数多くある。
さらに、就職氷河期世代など収入の低い若年者では、入居資格(単身入居は60歳以上、障害者、生活保護受給者、DV被害者などの条件)を満たさないため、住居に困窮する単身者も少なくない。
こうした状況や将来の都営住宅を取り巻く社会情勢を見据え、同審議会では@子育て世帯への支援A単身者の入居制度B高齢者への生活支援サービス―の大きく三つの観点から、今後の都営住宅の管理や整備に関する制度の在り方を検討する。
都内には1960〜70年代に建設された公営住宅が約52万戸(都営住宅など約25万8000戸、区市町村住宅約3万0600戸、都住宅供給公社一般賃貸住宅約6万5000戸、UR都市機構賃貸住宅約16万7000戸)あり、整備年代の古い住宅からそれぞれの整備・管理主体が建て替えなどを進めている。今後、同審議会がまとめる答申を、建て替えや改修といった事業展開にも反映させていく。
提供:建通新聞社