京都市都市計画局は3日、公募型プロポーザル方式でWTO対象の「京都市立新普通科系高等学校施設整備工事設計業務委託ただし、建築及び設備基本設計・実施設計業務委託」について、松田平田設計大阪事務所(大阪市西区)を受託候補者に選定したと発表した。
プロポには、共同設計京都事務所、内藤建築事務所、松田平田設計大阪事務所の3社が参加。評価の合計点が最上位(200点満点中、139・4点)だった松田平田設計大阪事務所を9月27日に受託候補者に選定した。なお基本計画は松田平田設計大阪事務所が担当。
同社の提案によると、設計コンセプトは(視点1)新しい教育に相応した、様々な学びができる空間づくり(みんなで学べる空間、興味を持って学べる空間など、学習意欲をかき立てる様々な学びができる空間を創る→特にアトリウムを校舎棟の中心に配置し学びの空間を創出)、(視点2)活発で創造的な活動など、様々な活動ができる環境づくり(思いっきり音の出せる環境、静かに勉強ができる環境など、夢中になって様々な活動ができる環境を創る→特に体育館棟を別棟で遮音性を確保し活動の環境を創出)、(視点3)新たな人々との出会いなど、様々な地域交流ができる場づくり(地域と生徒との交流、新旧住民同士の交流など、コミュニケーションを通じて様々な地域交流ができる場を創る→特に敷地沿いに回廊を巡らし広場を配置し交流の場を創出)。
コスト縮減では、全建設コストの約50%を占める躯体工事、外装計画等を重要管理項目と設定して、重点的に検証しイニシャルコストを抑制する。
特に重視する配慮事項は、外観デザイン(建築分野)では窓面への木材格子ルーバーの設置等で京都らしさを表現しながら、みやこ杣木や市内産・府産材を仕上げ材に積極的に活用。構造計画(構造分野)では重要度係数I=1・25の耐震性・安全性の高い建物とする。環境配慮手法(設備分野)では太陽光発電、風車の風力発電による街灯、雨水利用等、京都の自然エネルギーを最大限利用。特に豊富な井水を熱源とした空調システムを検討する。コスト管理(積算分野)では設計の各フェーズで建設工事価格変動を踏まえた概算を積算までに3段階で行う。各段階で次に向けたVE目標を明確にして設計を進めることで当初想定した予算に収める。
図書室・マルチメディアが一体となったメディアセンターを校舎棟中央に配置。校舎棟には学習空間に囲まれた4層吹抜けのアトリウムを配置。校舎棟と地域への騒音に配慮した体育館を分棟配置。各棟の出入口に面した交流の核となる広場、学校領域を明確にし各広場をつなぐ回廊を配置、通りから活動の様子が見える地域開放ゾーンを体育館隣接地に設ける。
間仕切り壁は乾式工法とし、躯体量を縮減。均等スパンによるユニット化、直接基礎の採用による工事費と工期の削減、PCリブ床版の採用で天井仕上げを不要とし、圧迫感を抑えながら階高を縮減。天井を無くすことでコストダウンと地震時の落下防止に配慮する。
躯体コスト、仕上げコスト、工期、騒音、振動対策を総合的に評価し、PC造が計画特性に適合するとした。
予定スケジュールは10月に基本計画点検を行い、11月から31年4月末まで基本設計、31年5月から11月末まで実施設計を進め、12月から積算を行う。
設計業務受託見積金額は1億4900万円(税抜)。
概算予定価格は2億1310万円(税抜)。
履行期間は32年3月31日まで。
計画地は京都市南区唐橋大宮尻町22(洛陽工業高等学校跡地)。