タケハラ工業(福井市桃園1丁目)代表取締役。福井県左官工業組合の専務理事も兼任し、「若い人に左官工を目指してほしい」と熱心にアピール。57歳。
18年度優秀施工者国土交通大臣顕彰で左官工の「建設マスター」に輝いた竹原重治さん。周囲の人々からの反響に戸惑いながらも「毎年先輩たちが授与されていたものを、今回自分が推薦されて受賞したことがうれしい」と喜びを表わす。
仕事をするうえで大切なこととして、「若い人たちに技術を伝え、育成していくことが一番大切」と強調。自社でも、10代から40代まで幅広い年代層の後進を育成し続けている。
また、技術継承について「私たちが若い頃は、技術を教えてくれる先輩が数多くいてくれたし、様々な仕事を経験する機会も豊富だった。今の業界は知識と乾式工法(工場などで生産された石膏ボードや合板などを建設現場で取り付けて仕上げる工法)が主流になってしまい、昔ながらの工法が廃れてしまった」と危機感を持ち、「色々な技術を公表しているが、現在は短期間での修得が難しい時代。たとえ時間が掛かっても仕事と技術を覚えてもらい、さらに次の世代へと伝わってほしい」と期待を抱く。
今後の業務については「お客さんに昔ながらの左官の良さをわかってほしい。コスト面などで敬遠される場合もあるが、実際に住む人にとって塗り壁が健康的である部分をアピールし、戻って来れるようにしたい」と願い、取り組みを継続していく意向。
これから左官工を目指す人に向けて「この仕事は決まった正解がない。自分達で色々な仕事や工程などを開拓でき、工法の仕上がりについても自由な発想を活かせる。遊び心のある世界で飽きが来ない。オリジナルで仕事を進めることが一番の魅力」と語っていた。