(一社)富津市地籍調査協会(佐久間美晴理事長)の「創立記念祝賀会」が先月28日、富津市内で開かれ、来賓として高橋恭市・富津市長をはじめ、地元選出の浜田靖一・衆議院議員と吉本充・県議会議長、(公社)千葉県測量設計業協会の小池毅会長、(一社)長生郡市地籍調査協会の石塚修代表理事らが祝辞を述べた。2019年度から地籍調査事業を再開、51年後の2069年度の完了を目標とする富津市において、国土調査法第10条第2項委託の受託法人として昨年7月、市内の測量業者7社と土地家屋調査士3人による同協会を設立。1年余を経過してこのほど、創立記念祝賀会を開き、関係者に披露したもの。
◆予算・雇用確保、技術研鑽
主催者を代表してあいさつした佐久間理事長は、協会設立にあたって掲げた、@早期完成と予算確保A雇用の確保B技術の研鑽――の3つの抱負に言及。そのうち「早期完成と予算確保」は、現状の国の予算では全国の地籍調査が完成するまで「200年以上かかる」と言われることから、その解決策として「国や県に予算拡大を要望し、早期完成を図る必要がある」と主張。地籍調査は「情報基盤整備の基礎データとして、行政の効率化や市民生活の利便性など、経済的効果の促進を図ることが出来る」とし、「啓発活動を通して、早期完成のための予算確保に積極的に取り組む」とした。
◆市内業者の雇用創出効果に期待
一方、「雇用の確保」として地籍調査事業は「市内業者にとって唯一、雇用創出効果の期待できる事業である」と断言。「地域に根ざした創設企業として、地籍調査事業による健全運営を目指し、雇用創出効果を図りつつ、魅力ある職場環境づくりに取り組んでいく」との考えを示した。
他方、「技術の研鑽」について佐久間理事長は、地籍調査は「認証成果にならなければ本来の意味がない」とし、認証成果の前提条件である工程管理や検査業務の徹底を主張。さらに、技術講習会等に積極的に参加し「新技術の習得や最先端の測量技術の研究・開発に取り組み、認証成果として高品質の成果品を確実に納品できるよう、技術の研鑽に努めていく」とした。
最後に佐久間理事長は、これらの3つの基本方針を踏まえ「当協会は『英知と総力』を結集し、地域社会の発展に貢献するとともに、経済的地位の向上と魅力ある職場環境づくりに積極的に取り組んでいく」との決意を示し、あいさつを結んだ。
◆来賓による祝辞
【高橋市長】市長に就任して2年余りだが、それ以前に副市長を務めている時から、みなさんは足繁く市役所に足を運ばれ、地籍調査の必要性を熱意を持って説明して頂いた結果が、このような素晴らしい協会の立ち上げに繋がっていると思う。ここに至るまで、市民に対しても地籍の必要性と重要性を説いて頂いたことは、行政にとっても大変ありがたいこと。当市における地籍調査の重要性は、現状を踏まえたうえで、やらなければならない大事業であることはご案内の通りである。当市の地籍調査の進捗率は12%で、県並びに国の平均を大きく下回っている。今後はこの重要性を行政としてしっかりと認識し、年々一歩一歩進めていく事業としたい。しかし、市の職員のみでは経験不足等々もあり、心もとない点もある。是非とも知識や経験の豊富な貴協会のみなさんの力を借りながら、富津市のより良い発展に繋げていきたい。
【浜田代議士】高橋市長の話からもわかるように、貴協会に対する期待は大変大きい。地球の環境が大きく変わり、大規模な自然災害が多発している時代である。我々はそれらに対処する意味でも、しっかりとした地籍を作り、調べて頂くことは重要である。国では来年度予算の概算要求が終わり、本予算に向けての色々な動きがある。それらを念頭に置きながら、乗り遅れないように、みなさんの要望をしっかりと取り入れ、地籍予算の確保に努めていきたい。創立記念祝賀会を迎えたみなさんにとっては、これからの一致団結が益々重要となる。今後の活動に心から期待している。
【吉本・県議会議長】長年のみなさん方の思いがまさに実り、高橋市長の英断によって、いよいよ富津市の地籍調査が始まっていく。これは富津市の未来にとって、本当に大事な種まきの一つとなる。恐らく後世の人たちから『あの時はよくやってくれた』と言われる事業になると確信している。これからしっかりと、富津市のためになるように力を貸して頂きたい。
【平野明彦・富津市議会議長】ここに至るまでは大変長かったような、振り返ればあっと言う間だったような気もする。ようやく準備が整い、スタートの時が来たと思う。行政と協会のみなさんとのこの事業(2項委託)が、富津市の新たな成功パターンとして他の団体にも広まるように、行政と民間が相携え、一歩一歩進めて頂きたい。
【小池・(公社)千葉県測量設計業協会会長】貴協会の前身である富津市地籍調査推進委員会が2014年4月に設立され、同市における地籍調査の推進に多大な努力をされてきた。ご承知のとおり、地籍調査は1951年に制定された国土調査法に基づき行われるもので、昨年度末での進捗率は全国平均で52%、千葉県では16%と大変遅れている。しかし、県内では長生郡市や富津市をはじめ、9つの地籍調査推進委員会が組織され、事業の推進が図られてきている。今回の一般社団法人化により、地籍調査の推進に一層、弾みをつけられ、しっかりと地固めをして頂くことで、今後のさらなる躍進と繁栄を祈念する。
【石塚・(一社)長生郡市地籍調査協会代表理事】全県下で地籍調査推進の署名活動をした際に、富津市から1万人以上の署名が集まった。地籍調査の必要性を訴え、これだけの地権者から署名を集めたという、佐久間理事長をはじめ貴協会の会員の努力は並大抵のものではない。そのパワーと熱意が、高橋市長にも伝わったと思う。佐久間理事長の話にもあったように、この一般社団法人は一つのビジネスモデルだと思う。みなさんの英知を結集させて、地籍の早期完成を目指して頂きたい。
◆(一社)富津市地籍調査協会構成員
□理事長=佐久間美晴(兜x津測量)
□副理事長=柗浦政博(松浦調査士事務所)▽牧野正行(許q野測量)▽大胡 均(泣eクノ測地)
□理事=影山明男(企業組合千葉県森林整備協会)
□監事=粕谷達郎(粕谷コンサルタント梶j▽大木一己(潟Iオキ)
□社員=浅倉文雄(ケーエス・コンサルタント梶j▽板石ひろ(板石調査士事務所)▽佐久間勝己(佐久間調査士事務所)