東京都総務局は、小笠原諸島への航空路開設に向けた基本計画調査として、父島の洲崎東端に滑走路を整備する案と、水上飛行艇の着水帯を整備する案の比較検討を始める。小笠原航空路協議会の中で示した、自然環境への影響を極力抑えた延長約1000bの滑走路整備を視野に入れつつ、複数の滑走路案を比較検討するための基礎資料を作成し、航空路に適した飛行方式・飛行経路などを検討して実現性の高い案を絞り込む。これに向け「平成30年度小笠原航空路基本計画調査」として業務を委託するため、希望制指名競争入札手続きを始めた。10月5日まで希望申請を受け付け、24日に開札して委託先を決める。
小笠原諸島への航空路開設をめぐっては、都が2017年7月、小笠原村との協議会を7年ぶりに開き、父島の国立公園や世界遺産区域に該当しない洲崎地区に、延長1200bの滑走路を整備することを軸に検討することを確認。さらに今年7月の協議会で、自然環境に配慮して滑走路延長を1000b以下に短くする形で実現に向けた検討を進めることを確認した。
この案を軸に、より実現可能性の高い案を絞り込むため、「洲崎東端案」と「水上飛行艇案」について、それぞれ複数の整備案を想定し、事業費や工期を検討する。
洲崎東端案では、桟橋形式と橋梁形式の滑走路長3ケース、滑走路標高2ケースの全6ケースの事業費と工期を算定。併せて既存の道路に接するアクセス道路やターミナルなど空港施設について検討するとともに、飛行方式や経路、予想就航率なども想定する。
中長期的に課題を整理する必要がある水上飛行艇案については、着水帯配置に関して二つのケースの事業費と工期を算定するとともに、揚陸施設やターミナルなどの空港施設、ターミナルと既存の道路を結ぶアクセス道路などを検討する。
提供:建通新聞社