横須賀市は、横須賀港久里浜地区での観光振興などについて調査を実施する。具体的には大型フェリーなどの寄港に必要となる係留施設整備の規模や配置の検討、駐車場の配置検討、概略設計と概略事業費の算定、基盤整備による効果と便益の検討―などを外部のコンサルタントに委託して行う。国土交通省から「官民連携基盤整備推進調査費」の補助交付決定を受け次第、早ければ10月中にも発注手続きに入る見通しだ。調査結果に基づいて、2019年度に港湾計画を変更。20年度からは駐車場や係留施設などの整備に着手し、早期の効果発現を目指す。
横須賀港久里浜地区は東京湾の入口に位置し、速度規制があり混雑する浦賀水道航路を通らずに寄港できることから、海上交通と陸上交通の乗り換えにより、都心までの移動時間が短くて済むことがメリットとなっている。
また、久里浜地区は東京湾フェリーの定期航路の他、不定期で小笠原、伊豆大島への航路があり、人流の結節点となっている。
横須賀市でも、東海岸に点在する近代化遺産などを周遊する仕組み「ルートミュージアム」の整備を、市の実施計画「横須賀再興プラン」(18〜21年度)に位置付けるなど、久里浜地区の利活用、活性化に向けて取り組むことにしている。
こうした中、民間事業者が寄港する船舶のバリアフリー化を20年度に、また複数の事業者が21〜22年ごろに久里浜地区を発着する航路の開設を検討している他、横須賀港利活用推進協議会が大型フェリーなどによる定期航路開設に向けて取り組んでいる。これら民間の具体的な事業活動と一体的に実施することで、その投資効果を最大限に発現するような基盤整備について今回、調査・検討する。
まず、大型フェリーなどが寄港する場合、航路や泊地の水深がどれだけ必要か、どの程度のスペックの防舷材や係船柱が必要になるかを検討。また、旅客のための駐車場の規模や配置などを検討し、概略設計まで進め、概略の事業費を算定する。さらに基盤整備による効果、便益、経済効果などを算定し、事業化に向けた費用対効果を分析する。
横須賀市はコンサルティング業務委託費を9月補正で予算化。国土交通省からは「官民連携基盤整備推進調査費補助」の事業採択を受けており、既に補助金の交付申請を行った。今後は、交付決定がありしだい、入札公告の手続きに入る。コンサルティング業務は一般競争入札での発注を考えている。
提供:建通新聞社