横浜市水道局は西谷浄水場(保土ケ谷区)の再整備に関わる計画を修正する方針を固めた。ろ過池の更新や粒状活性炭処理施設の整備といったこれまでの内容に「送水ポンプの増強」を新たに加え、2020〜40年度の21年間で事業を進める。また、原水を引いてくる相模湖系導水路約19`のうち、上流の相模原沈でん池(相模原市南区)〜川井接合井(旭区)間約10`を既存と同じ口径で更新する。浄水場関係でこれまでより約380億円増の681億円(現在価値化後580億円)、導水路関係で下流の川井接合井〜西谷浄水場間約9`を含め490億円(410億円)の整備費を見積もった。19年度までの2カ年で計画の修正を終えて、20年度の基本設計の再開を目指す。
西谷浄水場の再整備は施設の耐震化や原水の異臭味対応、自然流下による給水エリアの拡大が目的。当初計画は既設の第1配水池をろ過池、同じく第1・第2急速ろ過池を粒状活性炭処理施設に造り替える内容で、16〜25年度に250億円をかけて設計や工事を行う予定でいた。
ただ、施設を嵩上げすれば電気代がかかる場内の送水ポンプを廃止でき、二酸化炭素排出量の削減や停電時の安定給水にもつながる可能性があるため基本設計を中断。17年度の下期から計画の見直し作業を進めていた。
今回の修正で追加する送水ポンプの増強は相模湖系水利権水量の全量(日量39・4万立方b)を処理するため。ろ過池の更新などとともに22〜32年度で工事を行った後、33〜40年度に粒状活性炭処理施設を建設するスケジュールを想定。整備費は従来の250億円と整備期間中の設備更新費53億円に▽処理能力・性能増強=167億円▽浄水場を稼働させながらの施工=152億円▽杭や土留め構造物などの新たな費用=59億円―を加えて681億円とした。
18〜19年度の計画修正は、相模湖系水利権水量の全量処理やさらなるコスト縮減、自然エネルギーの採用、40年度完了の想定スケジュールなどを加味して検討。20年度の基本設計再開に向けて与条件を整理していく。
一方、施設の嵩上げや送水ポンプの廃止については、浄水場の整備費が817億円(現在価値化後675億円)に膨らみ、事業期間も47年度までと7年延びる。さらに、相模湖系導水路の上流を既存より大きい口径で整備しなければならず、下流を含め整備費が525億円(437億円)に上昇。電気代や維持管理費といったランニングコストの削減効果が得られないことなどから見送る。
提供:建通新聞社