建設新聞社
2018/09/27
【東北・岩手】佐藤総合計画を特定/釜石市新庁舎の基本計画・基本設計プロポ
岩手県釜石市は26日、新庁舎建設に係る基本計画・基本設計業務の公開プレゼンテーション・ヒアリングを行い最終審査の結果、評価点150点に対し114・9点を獲得した佐藤総合計画を最優秀者として選定した。次点(優秀者)は山下設計となった。
参加表明書および技術提案書は計4社(ほか2社非公表)が提出した。最優秀者に選ばれた佐藤総合計画の提案は、「釜石の絆と命をつなぐ防災庁舎」をコンセプトに、構造はRC造で4階建てとし、庁舎全体が防災拠点となるような災害対策を施す。また、市民の交流拠点となる「みんなのホール」を設置するほか、日常・災害時の利便性を考慮し、明確に議会・行政棟、会議棟の配置をすることとした。
新庁舎建設検討委員会の委員長を務めた南正昭岩手大学教授は「市民に対し豊かな空間構成や防災拠点の信頼性が高いレベルでまとまっている」と総評した。
現在の市庁舎は、同市只越町地内の第1〜5庁舎、同市大渡町地内の保健福祉センター、同市鈴子町地内の教育センターの7カ所で業務を行っている。
各課が分散していることに加え、老朽化や狭あい化、耐震性の問題などにより、市政運営や住民サービスの低下が懸念されていることから新庁舎の建設を計画。東日本大震災を受け策定した市復興まちづくり基本計画において、新庁舎の建設をフロントプロジェクト2と位置付けている。
建設場所は、旧釜石小学校、旧釜石第一中学校跡地となる同市天神町26の3、33地内の約1万2000平方b(建築有効面積約1万0500平方b)。
施設規模は約7500平方bとし、整備方針では、基本理念に「復興のシンボルとして釜石らしいまちづくりの拠点となる庁舎」を掲げ、▽機能的で安全な庁舎▽市民に開かれ利用しやすい庁舎▽都市づくりの拠点となる庁舎▽震災から得られた教訓を生かし防災拠点としての機能を重視―の四つを基本方針に挙げた。
求める機能は窓口、行政、議会のほか防災拠点、文化・交流情報受発信、省資源・省エネルギーなどとし、現在の第1〜5庁舎と教育センター、保健福祉センターを集約した複合庁舎とする計画。また、東日本大震災の教訓を生かし災害対策本部室に防災危機管理課、市長・副市長室、無線室などを隣接して配置し、初動体制を強化。このほか停電対策として非常用発電システムなどを整備する。
委託期間は19年3月29日までだが、債務負担行為議決後に数カ月延長する予定。その後、19年度で実施設計をまとめ、20年度下旬に着工、21年度の完成を目指す。予定工事費は約43億円を見込んでいる。
なお、実施設計および工事の発注方法については現在検討中としている。。
提供:建設新聞社