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建通新聞社(東京)
2018/09/27

【東京】都 こどもの城、建物改修し「都民の城」に

 東京都は、広尾病院の移転先として敷地の活用を計画していたこどもの城(渋谷区)について、土地と建物を国から取得した上で既存施設を大規模改修し、都の複合施設として活用する意向を固めた。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の際に暫定的に利用することも視野に、用地・建物の取得交渉を進めるとともに、ハード・ソフト両面の検討を加速する考え。9月26日に開かれた都議会本会議で、増子博樹氏(都民ファーストの会)の代表質問に小池百合子知事が答えた。
 こどもの城(渋谷区神宮前5ノ53ノ1、敷地面積9923平方b)は、旧厚生省が国立唯一の児童館(児童厚生施設)として建設し、1985年に開館した。規模は地下4階地上13階建て延べ4万1690平方b。地階に駐車場や体育施設、プール、休憩室などを整備し、地上1〜5階に子どもの遊び場の他、レストランや売店、アトリウム、ギャラリー、青山劇場・青山円形劇場、プレイホール、音楽ロビー、保育室、屋上遊園などを配置。上層階は研修室やオフィスとして利用していた。国は老朽化した施設・設備の改修費が約117億円に上ると試算するとともに、国立児童センターとして運営する必要性が低くなったと判断し、15年度に閉館した。
 一方、都は、施設の老朽化や新たな医療ニーズへの対応が求められている広尾病院(渋谷区)を、こどもの城跡を含めた敷地に移転新築することを構想。国から土地を取得することを計画していたが、広尾病院を現在地で建て替えるよう方針転換したことから、改めてこどもの城跡の活用方法を検討してきた。
 小池知事は「青山通りに面したポテンシャルの高い場所にあり、都のさまざまな政策実現に資する可能性を有する土地。敷地の上には寿命を迎えることなく国有施設として役割を終えたこどもの城の建物が残されている。取り壊すのはもったいないと考えるに至った」と述べた。そして「性別や年齢、障害の有無などに関わらず、誰もが利用できる施設へとリノベーションし、都民の学習、スポーツ、創業、人材育成などの場となる“都民の城”とも呼べるような複合拠点を創出していきたい」との意向を示した。
 建物の劣化や設備の老朽化に対応するため、大規模な改修が必要になるが、「本格的に使用できるようになるまでの期間も無駄にすることがないよう、東京2020大会にも役立てたい。建物の活用を含むハード・ソフト両面の検討を事務方に指示した」と述べ、具体的な検討作業を今後、加速する方針。合わせて土地・建物の早期取得に向け、所有者である国との協議を進めていく。

提供:建通新聞社