災害時に住民へ防災情報を速やかに伝達するため「同報系デジタル防災行政無線システム」の整備を計画している竜王町は、昨年度に発注した基本設計に引き続き、今年度中に実施設計を取りまとめるために、指名競争入札で業務委託を発注した。担当はビーム計画設計(本社/岐阜市)。
現在の同町防災行政無線は、車載型や携帯型の移動局と役場との間で通信する移動系防災行政無線。個別住民への情報伝達の役割を担ってきた有線放送の運営主体が解散したため、町が事業継承により災害時の緊急通報手段として設備を保有している。
しかし、近年の大規模災害の発生を教訓に、防災行政無線の流れはこれまで以上に多様化・高度化する通信ニーズに対応が可能なデジタル化であり、屋外拡声器や戸別受信機を介して行政から住民等に対して直接・同時に防災情報や行政情報が伝えられる同報系が主流となっている。
このため、竜王町は同報系デジタル防災行政無線システムの整備を決定。地域特性を考慮し、デジタル化に伴う不感地域が発生しないよう現地調査を実施した上で、現在町が保有する情報通信基盤の整備状況に十分配慮、将来の社会情勢の変化に対応できるよう経済性、合理性を基本に、最適なシステムを構築する考え。グループ別放送(ページング)機能やJアラート、スマートフォン等のアプリやメールとの連携は必須と考えられ、オプションで戸別受信機による暮らしの安否情報確認等もできるとされるが、費用対効果を考えながら検討していく。
整備工事は、今年度に実施設計をまとめ、19・20年度の2ヵ年で、国の緊急防災・減災事業債を活用して実施する予定。
整備を予定するシステムの概要は次の通り。
▽対象=町内全域(人口1万2092人、4303世帯=18年4月1日現在)
▽親局設備=一式(町防災センター内)
▽遠隔制御局=1台(本庁舎内)
▽屋外拡声小局=1台(防災センター有線局)、39局(町内各集落)
▽個別受信機=約4000台
提供:滋賀産業新聞