北海道建設新聞社
2018/09/26
【北海道】外国人技能実習生の検定受検者が道内で増加
道内で外国人技能実習生向けの技能検定受検者が増加している。北海道職業能力開発協会によると、これまで年間100―200人程度だった受検者数が2015年度に300人を超え、17年度は746人に上った。18年度は8月末で423人を数えている。法整備による実習期間の延長も手伝い、外国人の受け入れが進んでいることを如実に表している。
実習生を対象とする技能検定は、実習1年目で受検する基礎級、3年目で受ける随時3級が主。上位に随時2級があるが、道内ではまだ受検者がいない。
道内の15―17年度受検者を国籍別に見ると、ベトナムが777人と抜きんでて多く、全体の56.6%を占めている。次いで、中国が325人、フィリピンが173人。
職種別では、とびが236人で最多。建設関連ではこのほか、鉄筋施工が148人、型枠施工が124人、建築大工が72人などと続く。
7月の道内有効求人倍率は、型枠大工・とび工が10・01倍を記録。大工・左官が4・28倍、建設業全体でも4・46倍となっていて、こうした状況と合致する。
受検者増には、17年11月の技能実習法施行に伴い運用が始まった、新たな外国人技能実習制度が大きく影響している。
これまで実習期間は最長3年だったが、随時3級に合格し、さらに検定の合格率や実習体制などが優良と認められる実習実施者(企業)、監理団体に限り、最大2年の期間延長が可能になった。
道内の随時3級受検者数を見ると、15年度は6人、16年度は16人だったが、17年度は161人に急増した。18年度は8月末で110人に上る。
また、新制度では優良実施者などに受け入れ人数の拡大を認めている。
技能実習生を巡っては低賃金や長時間労働、実習以外の作業に過度に従事させるなど、受け入れ側の課題も多い。耐え切れなくなった実習生が失踪するケースも目につく。
そうした事態を回避するため、各社とも実習生との良好な関係の構築に余念がない。耐火被覆、アスベスト対策工事などを手掛ける、タケベ(本社・江別)もそうした1社だ。
同社は15年からベトナム人の実習生を受け入れ、現在は7人が在籍している。頭を悩ませたのが住居だ。当初は民間のアパートを借りていたが、共同部屋では異国で神経質になっている実習生同士がけんかしたり、隣人が外国人というだけで、少しの音でもクレームにつながった。
そこで、本社近くのアパートを社宅として購入。個室として各戸に電化製品をそろえたほか、インターネットを通じて母国の家族と連絡が取れるようWi―Fi環境を整えた。定期的に日本人社員を交えた食事会も開いている。
武部孝彦社長は、こうした環境整備が不可欠と強調。採用を決めてから研修を挟み、着任まで半年以上かかることなどから、「実習生の受け入れは簡単なものではない」と明かす。
道内の技能実習生は増加し続けている。道のまとめによると、17年は8502人。13年に比べて65.3%、3360人増えた。建設関連は711人で、16年の約2倍、13年と比べると約9倍となる。
一方、政府は深刻な人手不足を受け、介護、建設、農業分野などを対象に外国人の新たな在留資格の創設を検討している。ただ、新たな資格に対しては、実習制度とのすみ分けを懸念する声もあることから、多様化する外国人受け入れ手法の動向が注目される。