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建通新聞社(東京)
2018/09/25

【東京】都の河川事業 高規格堤防で事業協力の促進強化

 東京都建設局は今後の河川事業の展開として、スーパー堤防整備に向けた地元区や開発事業者との事業協力の促進強化、調節池による水害対策の強化、グリーンインフラとしての機能を持つ河川整備などに重点的に取り組む方針を固めた。局地化・集中化・激甚化する降雨に対応しながら、自然環境の保全・創出やにぎわいの創出などにつなげる。
 スーパー堤防の整備については、背後地の開発スケジュールや土地利用計画と整合しない場合、事業化が困難である一方、民間事業者などが開発内容やスケジュールを固めた後では、堤防整備に向けた協議が困難で事業実施の機会を逸してしまう。そこで、地元区などと連携して民間による開発動向を早期に捉え、企画段階からスーパー堤防整備に向けた協議を事業者と行う。事業を周知し、その効果や意義を浸透させることで、開発者との情報交換の機会を増やす。
 中小河川の整備では、調節池による水害対策を強化することとし、新たな調節池の検討を前倒しして開始する。白子川と神田川・環状七号線の二つの地下調節池を連結する形で建設を進めている環状七号線地下広域調節池(内径12・5b、延長約5・4`のシールドトンネル)の延伸に向けた検討も2019年度に着手する。
 河川環境の整備として、護岸や調節池の整備による水害対策を前提としながら、自然の多様な機能を生かすグリーンインフラを活用した取り組みを推進する。例えば河川管理用通路に植栽や透水性舗装を整備することで、緑陰を創出しつつ浸透機能を高め、河川への雨水流入を抑制する。旧河川敷を緑道や親水公園として整備し、水と緑の連続性を創出することや、上部を平常時にビオトープとして利用できる調節池を整備するといった取り組みも想定している。
 また、川に背を向けて建物が連続したり、川沿いへの通路がないために川に近づけない所で、沿川の開発や建物の建て替えのタイミングに合わせ、魅力的な水辺の景観や親水空間の創出を検討する。
 民間活力を生かして水辺のにぎわいを創出するため、隅田川を中心とした「にぎわい創出エリア」で進めているリーディングプロジェクトを、日本橋川など他エリアに拡大することを検討する。行政と民間事業者、地元が連携し、川沿いのオープンスペースやプロムナードを整備することや、川沿いの街区に店舗などを配置し、にぎわいと交流機能を導入することなどを想定している。
 さらに、保守管理として、砂防施設と海岸保全施設にも予防保全型管理を導入。損傷や劣化が進行する前に適切な対策を実施し、防護機能を持続的に確保しながらコストを縮減し、事業を平準化する。

提供:建通新聞社