高知県は13日、全部局とインフラを所管する課長らが出席し2018年度2回目の社会資本整備推進本部会議を開催した。今回はインフラを利用する側のニーズとして、観光資源となる沈下橋の老朽化対策や集落活動センターへのアクセス道路整備、自然・体験型観光の推進に向けた土佐西南大規模公園の施設整備などの要望が挙げられ、これに対しインフラ主管課が今後の方針について述べ、全部局で情報を共有した。また7月豪雨災害を受け、19年度に向けた国への政策提言について報告した。
インフラを利用する側のニーズとして、地域観光課は沈下橋の老朽化対策を要望した。道路課によると、昨年11月に四万十川に架かる岩間大橋の橋桁がVの字に折れ曲がり全面通行止めとなったのを受け、四万十市が緊急点検した結果、三里橋と勝間橋でも損傷が発見され現在も通行止めとなっていると説明。さらに点検により18の沈下橋で早期修繕が必要と判定された。しかし管理する市町村の財政負担が大きいことから、県は修繕に対する支援制度を創設、9月補正予算案で8橋の修繕費用を一部負担する。
地域観光課は、19年2月以降に自然・体験型観光キャンペーンがスタートすることから、利用ニーズが高まると予想される土佐西南大規模公園キャンプ場の施設整備も要望した。公園下水道課によると機能維持に必要な中村地区オートキャンプ場の高圧変電施設の更新、中村地区のバンガロー修繕と進入路案内看板の設置、大方地区で緊急地震速報と全国瞬時警報システム(Jアラート)を公園利用者に知らせるための放送施設整備を進めるとした。
中山間地域観光課は、集落維持再生の取り組みとして馬路村魚梁瀬に集落活動センターが開設されるのを受け、アクセス道路の整備を要望。道路課によると県道安田東洋線の複数箇所で2車線化工事を進めている他、18年度に明神口トンネルの本体工に着手すると説明。また魚梁瀬大橋の耐震補強と修繕に向けた詳細設計を実施中で、緊急性の高い箇所から落石対策を進めているとした。
国際観光課は、よさこい踊り競演場の路面温度上昇を抑制するため、愛宕競演場で実施した「遮熱性舗装」の拡大を要望。道路課によると最大11度の温度抑制効果を確認したといい、こうした整備効果を高知市に情報提供し、競演場となる市道の整備着手を促すとした。
危機管理・防災課は、7月豪雨で多くの流木や堆積土砂が確認されたことから、堆積土砂の掘削や流木などの撤去を要望。河川課によると、特に治水安全度が低下した河川では緊急措置を行い、その他の河川では9月補正予算で対応するとした。
7月豪雨を受けた国への政策提言では、▽近年の豪雨を踏まえた中小河川の治水対策の推進▽大豊町・本山町での大規模土砂災害に対する直轄事業の実施▽高知自動車道の早期の全面復旧(4車線化)▽農地災害復旧事業における復旧限度額の見直し−をそれぞれ8月から9月にかけ要望。国の概算要求の状況などを踏まえ、今後の動向を注視し、引き続き国への働き掛けを行うとした。
次回会合は11月下旬に開催予定。19年度の予算編成に向け部局間の情報共有を行う考え。
提供:建通新聞社