東京都の小池百合子知事は9月19日、2018年第3回都議会定例会の開会に当たって所信表明し、多発する大規模な災害を踏まえ「首都東京を守るための備えに万全を期す」との決意の下、建築物の耐震化や木造住宅密集地域の改善などを推進するとともに、新たな調節池整備の検討や土砂災害対策の強化など防災事業のスピードアップとグレードアップに取り組む姿勢を打ち出した。災害の要因だと指摘される気候変動対策も「待ったなし」だと述べ、CO2削減や学校の暑さ対策を進める考えも示した。
激甚化する災害対策として新たな調節池整備の検討を進める。倒壊の危険性があるブロック塀は、通学路に面した部分を最優先で撤去し、一部の施設で多摩産材など国産木材を使った塀を試行的に設置する。土砂災害の防止や発災時の被害の低減対策なども強化する。
今夏の猛暑や記録的な豪雨、頻発した台風などは地球温暖化の影響が指摘されていることから、気候変動対策は待ったなしだと強調し、民間連携によるゼロエミッション都市の実現や、学校でのさらなる暑さ対策に取り組む。
東京2020(オリンピック・パラリンピック競技)大会の成功に向けては、暑さ対策と働き方改革、ボランティア活躍、バリアフリー推進の四つを最重要課題に掲げた。このうち暑さ対策については、道路の遮熱性舗装や街路樹の緑陰拡大を引き続き進める。また、競技会場周辺の駅から会場入り口までの“ラストマイル”での取り組みなどハード・ソフトの両面から一層の対策を講じる。
10月11日に開場する豊洲市場に関しては、人々が集うにぎわいを生み出しながら、多くの人に親しまれる日本の中核市場へ育てていくと強調。合わせて、築地再開発や環状第2号線の整備など東京のポテンシャルを引き出す取り組みを全庁一丸で着実に進めていくとした。
東京の未来を担う子供たちを育むための取り組みの一環として、都立高校の魅力向上のため19年度からの3年間の展望を示す「都立高校改革推進計画・次期実施計画」を策定する。新たな価値を創造する能力や、東京の産業を支える人材の育成などに対応した「意欲的な取り組み」をまとめ、11月に骨子を公表し、都民意見も反映して19年2月に確定する。
東京の魅力を一層向上させるため、首都高日本橋区間の地下化についても触れ、「伝統と革新が交差する東京の象徴とも言えるエリアの価値をさらに高めるため、コストを精査しながら計画を具体化していく」と述べた。さらに、ベイエリアでは次世代のまちづくりのモデルとなるビジョンを策定する。全庁的な検討会と若手の官民連携チームにより、世界を見据えた将来像をまとめ、東京・日本の今後の成長戦略につなげる意向だ。
提供:建通新聞社