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日本工業経済新聞社(山梨)
2018/09/18

【山梨】富士北麓などで上昇 18年度山梨県地価調査結果

 県総合政策部は、7月1日時点における2018年度(平成30年度)山梨地価調査結果をまとめた。県下27市町村の268地点を基準地として、全用途の平均価格は2万7300円/u。昨年より400円/u(1・7%)の縮小で、1993年度(平成5年度)以降、26年連続の下落。その中で富士北麓地域などの7地点で上昇が見られているものの、リニア駅近隣地域では横ばいの状態にとどまっている。今後の建設事業の進み具合により影響が出てくるものと予測している。
 住宅地の平均価格は2万4600円/uで、これは1981年度から1982年度(昭和56年度から57年度)の水準とされている。平均変動率は1・8%のマイナスで、全用途と同様に下落は26年続いている。
 上昇した5地点の上位は富士河口湖町、山中湖村および忍野村となり、別荘や保養地としての適地や業績好調な製造業の人員増加が要因として考えられている。
 商業地における平均価格は過去最低水準となる4万6000円。ピークとなる1991年度(平成3年度)と比べると8分の1まで落ち込んでいる。上昇が見られた富士河口湖町と山中湖村の2地点は、ともに富士山の世界文化遺産登録を背景に観光客の増加が見られ、収益性の改善とともに土地需要も回復の傾向にあるとしている。
 工業地の平均変動率はマイナス0・5%となり平均価格は1万3900円/u。横ばいと下落の地点が半々(各7地点)の結果で、昨年から下落幅を0・6ポイント縮小し、回復の兆しといえるもよう。
 林地の状況は1地点が横ばい、7地点がマイナスで、平均価格は11万1000円/10アール。昨年から1・6%のマイナス変動。
 市町村別に見ると、住宅地の平均価格上位は昭和町(4万6900円/u)、大月市(4万700円/u)、都留市(3万9400円/u)の順。道志村(3・6%)、丹波山村(3・4%)、身延町(3・3%)の順に変動率の下落が高かった。
 一方の商業地の平均価格と変動率マイナスの上位は、前者が甲府市(7万6900円/u)、上野原市(7万2600円/u)、都留市(7万800円/u)、後者は市川三郷町(3・9%)、南部町(2・9%)、鳴沢村(2・7%)となっている。
3面へつづく

1面からつづく
 全国的に見ると、三大都市圏で平均変動率の上昇幅が拡大に向かうのに引かれるように地方の下落幅が縮小。しかしながら、人口減少が著しい市町村の下落幅大きいこともあり、全体では下落傾向が続いているとしている。
 なお調査に当たっての基準地260地点は、昨年度と同様の住宅地191、宅地見込地10、商業地45、工業地14、林地8の内訳。
◎用途地域別の詳細
◎住宅地
 本年度選定替えを行った1地点を除く190地点の平均変動率はマイナス1・8%。26年連続の下落となるものの率は0・3ポイント縮小した。上昇5地点に対してマイナス176、横ばい9の内容で、下落幅の縮小に関しては、長期の下落傾向による価格の落ち着き、一部地域(富士北麓別荘地や業績好調な製造業の立地地域)の需要回復、低金利の継続を要因に挙げている。
 潜在的な期待感が持たれるリニア中央新幹線の駅近郊地域については、横ばいはあるものの上昇地点はないとして、今後の事業進捗により動きが出てくると県では予測している。
◎商業地
 45地点のうち上昇2、マイナス38、横ばい5の内容。平均変動率は昨年から0・4ポイント縮小のマイナス1・5%。
 購買力の低下や大型商業施設の進出により従来の商業地域の状況は厳しいとして、11の市町村が県平均を上回る下落率を記録した。甲府駅南口再整備により近いエリアの価格上昇は見られるが、近隣への影響は見られていない結果となった。