鳴門市企業局と北島町が進めている共同浄水場事業について、両市町で構成する浄水場共同化協議会の第3回会合が10日に開かれ、共同浄水場の基本設計の検討結果、概略工程案などが示された。共同浄水場の施設能力を日量5万1000立方bとし、2021年度から工事に着手、遅くとも28年度の全面供用開始を目指す考えだ。また、市浄水場近隣の用地を取得することで、工期短縮やコスト縮減等の効果が期待できることから、9月補正予算案に用地取得費を計上、用地購入を進めていく考えも示した。現在、進められている基本計画の策定は19年3月に完了する運び。
共同浄水場は、水道事業の広域化に伴い、両自治体がそれぞれ所有する浄水場を集約し、共同で維持管理を図るもの。昨年8月に両自治体で「浄水場共同化協議会」を設置。同12月に市企業局が外注した共同浄水場基本計画策定業務と並行しながら検討を進めていた。両自治体の現浄水場は、いずれも北島町内に位置し、旧吉野川の対岸に位置する。共同浄水場は現在の鳴門市浄水場の敷地内(北島町高房)に建設する。
基本計画の策定は東京設計事務所関西支社(大阪市淀川区)が担当。業務では、施設規模・概算事業費・工期などを示す基本設計をまとめた上で、協議会において官民連携の可能性や整備・運営方法、費用負担割合などを検討する。なお、基本設計の作成に当たっては、北島町浄水場への送水や町浄水場の既存施設の利用を含めて検討することにしている。
当日は、共同浄水場の基本設計の検討結果として▽共同浄水場の施設能力▽浄水処理方式▽用地取得に関する事項−を事務局が説明。共同浄水場の施設能力は、全面供用開始(鳴門市と北島町への全量送水)を28年度とし、必要な施設能力をこの28年度の計画浄水量日量5万1000立方b(鳴門市日量3万8000立方b、北島町1万3000立方b)とした。ただし、今後最新の実績を用いて需要予測を行うため、計画浄水量は増減することなどを想定して、施設能力は日量5万1000立方b+αで発注を検討する考え。
続いて浄水処理方式については、現行の「凝集沈殿+急速ろ過」の他、凝集沈殿+膜ろ過、凝集+膜ろ過を比較検討した結果、浄水処理や経済性などに優れた現行方式を採用するとした。なお、かび臭など原水水質の変化への対応が必要なことから「粉末活性炭処理」を設けてかび臭物質を低減させる考え。
用地取得に関しては、市浄水場から送水管を敷設するために必要な用地を取得するため、近隣の用地の取得交渉を進めていく過程で、浄水場の機能移設や仮設も十分可能な用地の購入の可能性が出てきたとし、この用地を取得した場合、工期短縮と工事費縮減等の効果が期待できることから、9月補正予算案に用地取得費として3700万円を計上し、用地購入を進めていく考えも示した。
この他、概略工程案については、18年度末の基本計画策定を受けて、19年度から詳細設計の他、事業変更認可などの作業を20年度にかけて行い、21年度から建設工事(および施工監理)に着手。25年度の鳴門市向け送水(半系列の供用)を経て、28年度に北島町向け送水を開始し、全面供用となる運び。また、同年度に不要な施設の撤去を行い、一連の事業を完了させる計画。
なお、この工程案には官民連携の事業手法や発注方式などが反映されておらず、現在の用地で更新した場合で作成されているため、さらなる工程の前倒しも見込まれるとしている。本年度末までに策定される基本計画の中でより具体化させていく考え。
提供:建通新聞社