四国地方整備局(四国地整、平井秀輝局長)と日本橋梁建設協会(橋建協、坂本眞会長)との意見交換会が9月10日、高松サンポート合同庁舎で行われ、@働き方改革の推進(鋼橋事業の成長力の強化)A生産性と安全性の向上B発注・施工プロセスの改革―など三つをテーマに意見交換し、課題解決に向け情報を共有した=写真。
橋建協からは坂本会長や桑田敦副会長をはじめ、松室芳武四国事務所長ら役員が出席した。平井局長は「中長期の視点で技術者を確保する使命を持って、生活向上、処遇改善や人材育成に真摯(しんし)に取り組んでいる」と述べた上で、適正な工期設定に対し発注者向けに、鋼橋上部工を対象にした『工程プロセス研修』を四国技術事務所で実施する考えを示した。
また、総合評価に関する取り組みとして、本年度から工種区分に「橋梁補修工事」が新設されたため、「橋梁補修工事の実績を、橋梁新設工事の総合評価で評価する」と伝え、維持管理を前面に打ち出した橋梁工事の展開をにじませた。さらに橋梁工事発注時の留意事項を基に、「発注仕様」を作成することにより、不調・不落対策につなげる取り組みなど、三つの重点方針を示した。
「働き方改革の推進」で橋建協は鋼橋事業の成長力強化のため、鋼橋採用推進や最新技術情報の活用など長期安定的な発注量の確保・平準化を要望。四国地整は現場条件などを踏まえ、コスト、施工性や維持管理面などを総合的に判断し適切な橋梁形式の選定に努めているとした。
週休2日制の実施に向けて橋建協は、直轄工事での現場の休日取得(閉所)の実態調査や意識調査結果の他、週休2日とした場合の、現場工期と工事費増加を試算。その上で週休2日制を定着させるための検討事項として、現場の周辺環境や架設工法が特殊な場合などは、週休2日制の範囲外とするよう要望。四国地整は対象外の工事、現場閉所扱いなどを、個々の具体例を示して理解を求めた。
適正な工期設定では、本官発注の「発注者指定型」で工程の設定パーティー数と工事工程表を見積もり参考資料に開示する取り組みを実施していると説明。その上で週休2日制導入に当たり、発注担当実務者向けの、▽現場での工事実施プロセスの実態と内容▽施工の障害の実態▽施工上支障となった事案と対応の実際などについて学ぶ―「工程プロセス研修(仮称)」を今秋から実施するとし、同協会にも講師派遣を要請する考えであることを伝えた。
「発注・施工プロセスの改革(鋼橋工事の効率化、円滑な推進)」で橋建協は、入札契約制度の導入・活用の各方式における具体的な功罪を挙げ、導入・採用時での検討を促した。これに対し四国地整は、各制度の導入・活用の現状を示しつつ、新たな取り組みとして橋梁新設工事の総合評価の企業評価に、橋梁補修工事の実績を評価する試行に取り組む考えを示した。
橋梁補修工事の発注時の明確な条件明示で橋建協は、発注時図書に積算条件、現場条件、現場工期や制約条件まどの明確な条件明示を強く要望。諸事情で明記が困難な場合は「受注後協議」の内容を記載するよう求めた。
四国地整は、工事によって明示される条件の不足や不明瞭により円滑な設計変更が図られないケースもあるとの指摘を踏まえ、今年をめどに「設計変更ガイドラインの事例の充実」と「土木工事条件明示の手引き案」を作成すると回答。さらに、橋梁補修工事の円滑な実施のため、発注までに発注者が行うべき準備事項、適正な価格と工期設定における留意点や専門性の要否の判断材料となる「工種難易度表等」を記載した「橋梁補修工事発注時の留意事項(案)」を本年度中に作成すると回答。これにより、発注仕様を作成し不調・不落対策につなげる意欲を示した。
提供:建通新聞社