◎簡易型総合評価 以外点公表を開札後に変更○
ダンピング防止 委託業務に低入価格調査
長野県は、小規模道路維持補修工事で、プロポーザル方式を活用した複数年継続委託を導入し、来年度から各建設事務所1工区以上で試行する。また、総合評価落札方式を含む受注希望型の委託業務に低入札調査価格を導入、さらに建設工事の総合評価落札方式で、価格点以外の評価点の公表時期を見直す。いずれも2019年度4月からの公告案件に適用する。それぞれ、9月11日に開いた2018年度第2回契約審議会で報告した。
◎目標未達の場合は終了○
小規模道路維持補修工事で、プロポーザル方式を活用した複数年継続委託を19年度から試行する。3カ年にわたって業務を継続委託するもの。初年度にプロポーザル方式で委託先を特定し、その後、単年度ごとに随意契約する。
県は2010年度以降、舗装の穴埋め、草刈り、側溝清掃、緊急修繕といった管理道路の維持作業や小規模補修の民間委託を徐々に拡大。現在は97工区のすべてで、地域ごとに編成する「地域維持型JV」と契約している。
が、契約が単年度ごとのため中長期的な仕事量の見通しを立てづらく、業務にかかる技術者の確保・育成や計画的な設備投資が困難として、県建設業協会などは複数年契約とともに河川・砂防や除雪を含めた維持補修業務の包括化を以前から要望していた。
今回の試行は道路を対象に、小規模維持補修工事を3カ年にわたって継続委託するしくみ。現在は入札参加者の施工体制を評価して委託先を決めているが、これを1回のプロポーザル方式によって決定する。
3年間の業務に対し、有効な提案をまとめて募集、初年度に最優秀の事業者を特定する手法。ただし契約は単年度ごとに行い、2年目以降は設定した成果目標に照らして評価が良好な場合はそのまま随意契約、未達成の場合は契約を継続しない。PDCAのサイクルをまわし、業務の効率化や品質向上をねらう。
県は来年度から各建設事務所1工区以上で試行するとし、今年度1月から必要書類などを整えていく考え。審議会では委員から、プロポーザルの審査や成果目標の設定、評価が重要という意見が複数出された。
県建設業協会顧問の藏谷伸一委員は「業界の要望に対応いただきありがたい」と謝意を表したうえで「道路だけでなく河川や森林整備、除雪などの業務を包括して委託する考えはないのか」と質問。これに対し県は「今回の試行は道路のみが対象だが、河川・砂防についても検討している」(技術管理室)と答えた。
◎来年4月から低入札価格調査○
○受注希望型の委託業務○
総合評価落札方式を含む受注希望型の委託業務に低入札調査価格を導入する。建設工事で今年4月から導入している制度にならったもの。基準価格未満の落札候補者に対し、低入札価格調査と品質確保対策を行う。来年4月の公告案件から適用する。
県の受注希望型競争入札はこれまで、低入札価格調査基準価格と失格基準価格を同額とし、これを下まわった者は調査を省略して即失格としてきた。が、建設工事は今年4月から低入札調査基準価格と失格基準価格に幅を持たせ、その幅に価格が入った者に対しては低入札価格調査を実施している。
委託業務の調査基準価格は、通常の受注希望型は予定価格の87.5%、総合評価落札方式は変動制で予定価格の87.5〜90%。総合評価落札方式は失格基準価格を調査基準価格から2.5%低く設定し、調査基準価格と失格基準価格の間の入札は価格点をマイナス補正する。
基準価格未満の落札候補者に対しては、契約前(候補者通知日の翌日から2日以内)と完了時に調査書類の提出を要求。品質確保対策として管理(主任)技術者の専任配置と第三者照査も求める。
辞退は年3回以上で入札参加を制限。また調査の結果適切な履行がされないと判断された場合は落札候補取り消し、入札参加制限、入札参加停止などのペナルティーが課される。
県によると、建設工事で低入札価格調査に抵触した入札は今年度、全体の4.6%にあたる17件。うち1件が辞退、落札候補取り消しはないという。
◎入札手続き期間を短縮○
○以外点公表を開札後に変更○
建設工事の総合評価落札方式で、価格点以外の評価点の公表時期を見直す。現行制度は入札書提出後、開札前に価格点以外の評価点を公表し、疑義照会を行う手順。これを開札後にずらし、予定価格の公表、疑義申し立てと時期を統一する。
現行制度では価格以外点の公表時に疑義照会を行い、開札後、予定価格公表時に再び疑義照会を行う。疑義照会を2回行うため入札公告から落札者決定までに時間がかかり、かつ、価格以外点の公表時に応札者が公表されるため不調になった場合にそのまま再入札ができない。
県技術管理室によると、現行制度は入札公告から落札者決定までの期間がおおむね37日。「不調となった場合は公告からやり直す必要があり、さらに約40日が必要。配置予定技術者を長期間拘束することになるなど、応札者にも負担をかけている」という。
これに対し変更後は、入札手続き続きの期間が32日に短縮。応札者は開札後の公表となるため、不調となった場合に再入札が可能だ。簡易型の総合評価落札方式を対象とし、来年4月の公告案件から適用。技術提案型の総合評価落札方式は対象とせず、現行制度で実施する。
◎10月1日以降の公告から○
○週休2日の労務費等補正○
このほか、審議会では週休2日の実施が認められた工事に関して、労務費×1.05、機械経費(賃料)×1.04の補正を行う。今年度10月1日以降に公告した工事から導入するとした。
週休2日への県の取り組みは、2015年度から始まったモデル工事が35カ所、16年度67カ所、17年度66カ所で、18年度からは「施工者希望型週休2日工事」に取り組んでいる。また、16年度からは総合評価落札方式で9カ所、17年度は加点評価も行い、38カ所が施工された。
提供:新建新聞社