横浜市建築局は市営野庭住宅の建て替え基本構想を立案するための業務の委託先をユタカナアーキテクツ(横浜市港北区)に決めた。88棟3294戸を誇る最大規模の市営住宅で、現有戸数の維持を前提に高層・集約化などの視点も絡めて事業スケジュールを検討。成果を建て替えの方向性固めに生かし、2019年度以降の施策展開につなげる方針でいる。
市営野庭住宅は港南区野庭町の南北約1・6`、東西約0・8`に及ぶ地域に、横浜市住宅供給公社の分譲・野庭住宅(2〜10階建て20棟2835戸)と混在して立地。大半を1970年代に建設した公営住宅で、A〜Kの11街区に分けて鉄筋コンクリート造3〜5階建ての中層階段室型住棟を3〜14棟配置している。エレベーターはない。
18年4月策定の「市営住宅の再生に関する基本的な考え方」で20〜50年の約30年間に約1万2000戸の建て替え(総事業費約2450万円)を想定する中、金沢区内の改良住宅3カ所(瀬戸橋、六浦、瀬ケ崎)などとともに先行建て替えの対象に選んでいた。
今回の業務では、第1種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)が過半を占める現地の建築規制などを踏まえつつ、現有戸数の維持を前提に▽高層・集約化や街区単位での建て替えの可否▽多世代居住の実現▽現居住者の仮移転先の確保―といった視点も絡めて事業スケジュールを複数検討。建て替えの期間や進め方を見極めて方向性を固める上での材料をそろえる。
ユタカナアーキテクツは「市営野庭住宅建替基本構想業務委託」と題した8月31日の指名競争入札に257万円で応札して落札者となった。19年3月29日を期限に成果をまとめてもらう。
提供:建通新聞社