県土整備部は6日、建設工事に適用する調査基準価格の算定式を一部見直す考えを県建設業協会(山根敏樹会長)との会合で示した。協会側が予定価格の92%程度と当初、説明を受けていた率とは食い違い、実際には91%台で推移していると指摘。県土の山内政己部長は「算定式の改正を検討したい」と述べ、今後、工事原価調査の結果を見て微調整する。
県土は4月から発注する建設工事全てに低入調査制度を適用。その際、調査基準価格は従来の最低制限価格92%程度と同水準で、影響は小さいと説明していた。
ところが、18年度発注の大半の工事では調査基準価格が92%を下回っていた。
県土は工事原価実態調査を実施しており、結果を踏まえて調査基準の算定式を修正する。実態調査は92%付近で受注し、今年1月から6月にかけて完成した現場を抽出。原価割れを起こしていないか工事台帳を元に調査を進めている。算定式の見直しでは、おおむね92%台を確保する方向だ。
併せて協会は、16・17年度の平均落札率93・5%をとらえ、調査基準を94%へ上積みを要請。16年度の都道府県別にみた平均落札率についても、10県で95%を超えており「94%の率は決して高くない」と見解を求めた。
県土は「落札率が高いからといって、調査基準を引き上げることは別個の問題」と関連性を否定。その上で「調査基準価格92%は全国的にも高い」と、現行水準に理解を求めた。
◆災害協定に加点を
また、協会は県と「災害時協定」を締結している会員の入札への優遇を要望した。県土は協定締結の有無は経営事項審査(P点)に加味しており、P点は総合評価の「企業経営」で評価していると説明。さらに以前、災害応急工事の実績を総合評価に加点していたが、協会からの要望で廃止した経緯を付け加えた。
これに対し、協会は国交省と個別に協定を結んでいる会員外の業者も経審で評価されているとし、過去にあった総合評価の加点廃止についても「各県土によって加点の運用に違いがあったためだ」と反論した。
◆週休2日制を推進
若年者の担い手確保・育成では、協会側が週休2日制に向けた検討状況に説明を求めた。
県土は4月から週休2日制工事を受注者希望型で全工事に適用しており、「魅力ある業界にするためにも週休2日は実現しなくてはならない」と強調。その上で必要経費など具体的な課題を検証するため、「途中で週休2日が取れなくなってもペナルティはないので、まずは取り組んでほしい」と呼び掛けた。
◆工事書類の簡素化
このほか、工事書類の簡素化をめぐっては、今年3月に国交省が「土木工事関係書類作成マニュアル」を改訂。簡素化する書類をより明確にしており、県土は受発注者双方で業務の効率化に有効だとして、同様の取り組みを検討する考えを説明した。
日刊建設工業新聞