東京都公園審議会(会長・梨雅明日本公園緑地協会副会長)は9月6日、小池百合子知事からの諮問を受け「代々木公園の整備計画」についての検討を開始した。岸記念体育会館と都水道局ポンプ所のある約1・2fの区域が対象で、民間活力の活用も視野に入れながら、周辺エリアとの一体性・連続性などに配慮した緑の創出、アクセス改善などの方向を取りまとめていく。5月に諮問された「都立明治公園の整備計画」と合わせ、都が11月ごろ示す整備計画案を基に検討を進め、2019年1月に中間まとめを行う。2月に都民意見の募集手続きを行った上で、5月に都に答申する予定。
代々木公園(渋谷区代々木神園町他)は、戦後の進駐軍宿舎や、1964年の東京オリンピックで選手村として活用された後、都が再整備を実施して67年に開園した。都市計画決定区域の面積は約65・8f、このうち約54fを供用している。道路を挟んで北側をA地区(森林公園)、南側をB地区(陸上競技場、野外ステージなど)に区分し、屋外バスケットボールコートやサイクリングコース、ドッグラン、噴水広場なども配置している。
新たに整備計画を策定するのは、国立代々木競技場の南側に面する約1・2fの区域で、岸記念体育会館と都水道局のポンプ所がある。岸記念体育会館については、近接地に建設中の「日本体育協会・日本オリンピック委員会新会館」に19年度に移転する予定。ポンプ所は水道局が給水所としての改修計画を検討しており、地下に配置して上部を公園利用できるようにする考えだ。
既存施設の整備スケジュールなども踏まえつつ、▽代々木公園南端に位置する地域特性に応じた緑地の創出▽誰もが使いやすい公園▽防災性の確保▽国立代々木競技場や原宿・渋谷エリアなど周辺エリアとの一体性▽アクセスの改善―などの視点で整備計画を検討する。公園整備や施設建物整備、管理運営に民間活力を導入することを視野に入れる。
一方、明治公園の都市計画区域は新国立競技場や明治神宮、神宮球場、秩父宮ラグビー場などを含む約58・5f。港区元赤坂や新宿区霞ケ丘、渋谷区千駄ケ谷1丁目にまたがっており、このうち国立競技場の西側と南側に面した区域を中心に約2・8fを開園している。
都では、新国立競技場の建設に伴い霞ケ丘アパート(新宿区霞ケ丘町4丁目、敷地面積約1・5f)を廃止し、東京体育館の周辺から新国立競技場の周辺(人工地盤上の部分)を経て都営住宅の跡地に至る区域を明治公園として再整備する。
新国立競技場と併せて建設する人工地盤を立体都市公園として整備するとともに、神宮外苑(がいえん)地区の再編に伴って歩行者ネットワークを確保する。神宮外苑で動き始めた民間開発などを踏まえながら、公園内の動線やゾーニングなどを整理し、導入すべき機能や施設を検討する。こちらも民間活力の導入を視野に入れる。
提供:建通新聞社