トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設新聞社
2018/08/29

【東北・宮城】施設稼働後10年間で約2兆円/東北放射光施設の経済効果を試算

 東北経済連合会(海輪誠会長)は28日、仙台市に設置が決定した次世代放射光施設(東北放射光施設)がもたらす経済波及効果を公表した。施設稼働後の10年間で国内全体に約2兆円の経済波及効果があると試算している。
 調査に当たっては、新施設を核とするリサーチコンプレックスの形成や、産学官金のパートナーシップによる新施設の機能の発揮を前提とした上で、北海道東北地域経済総合研究所(ほくとう総研)の協力を得て推計した。それによると、次世代放射光施設の仙台市への立地がわが国全体にもたらす経済波及効果が、施設稼働後の10年間で1兆9017億円、20年間では3兆9338億円に上るとともに、宮城県内への雇用創出効果が10年間で1万9123人、税収効果が同じく99億円となると算定した。
 具体的には、次世代放射光施設の立地によって、新たに生み出される国内市場(革新的技術による新製品市場など)の生産額の増加分に当たる市場創出効果が、10年間で1兆6240億円、20年間で3兆6561億円に上ると試算。
 一方、新施設の建設費(340億円)や、施設運営費(290億円)を基に、建設期間中から施設完成後10年間の経済波及効果については、宮城県内全体で約2777億円、このうち仙台市では約2346億円となると推計した。また、10年間における研究員や事務員などの雇用創出効果が県内全体で1万9123人、うち仙台市内では1万6033人、税収効果が県に51億円、仙台市には48億円をもたらすという結果となった。
 調査に当たった東経連の向田吉広副会長は、「民間の資金を大幅に取り入れて研究施設を整備するというのは、わが国でも初めての例となる。放射光施設を建設して終わりではなく、そこに人が集まり、産業が創出されることを狙いとしている。この波及効果の実現に向けて努力していきたい」と話した。
 次世代放射光施設は、軟X線と呼ばれる極めて明るい光を用いて物質の構造を詳細に解析する研究施設。仙台市の東北大学青葉山キャンパス内への整備に向け、光科学イノベーションセンター(仙台市 高田昌樹理事長)をはじめ宮城県、仙台市、東北大学、東経連で構成するグループが、国と共同で事業を進めるパートナーとして7月3日に決定している。

 提供:建設新聞社