北海道建設新聞社
2018/08/29
【北海道】ひらけ!夢へのみち BPアクセス道路(上)
23年までに1路線完成目指す
■最大の障壁は「時間」
北海道日本ハムファイターズのボールパーク(BP)構想に合わせ、アクセス道路2本の新設を計画している北広島市。BPが開業する2023年までに1路線の完成を目指すが、5年という限られた時間が最大の障壁となりそうだ。
候補地となったきたひろしま総合運動公園予定地は、白紙の土地にデザインを描ける自由度の高さと、36・7haの広さを確保できることが魅力だ。一方、周辺は原野に近く、道路や上下水道などインフラ整備から取り掛からなければならない。
中でも課題になるのが、人口が集中する札幌方面から、多くの来場者を招き入れるアクセスだ。
隣接して設置を計画するJR新駅の動向が不透明なため、既存のJR北広島駅や札幌市内の主要地下鉄駅からのシャトルバス、周辺の国道や道道、高速道路を用いた自家用車での来場が中心になるとみられている。
しかし、周辺の市道は5万人規模の都市郊外の2車線道路が主体で、候補地につながる市道北進通は最大で1日8000台の通行しか想定していない。数万人の来場者をさばくには容量不足が明らかだ。
■道道新設へ可能性探る
渋滞を緩和するため、市は候補地から北側の国道274号のバイパス道路1・8`と、西側の市道大曲椴山線に直結する2・4`のアクセス道路を新設する考えだ。
どちらも原野での新設となることから、国道274号への路線は総事業費50億―70億円、市道大曲椴山線への路線は総事業費10億―20億円と試算。周辺の市道3本の拡幅を含めた道路整備費用は80億―120億円に上る。
国道274号への接続はJR千歳線や国道接続部の立体交差が必要なため開業に間に合わず、事業費も高いことから、市は市道大曲椴山線へのアクセス道路を優先する方針。高橋はるみ知事がBP関連の支援展開を表明しているため、道道として新設する可能性を探り、道と協議を進めている。
高橋知事に支援を要請する上野正三市長(手前)
ただ、道建設部では「何もない所に2`の道路を造るには、通常7、8年、工事だけでも5年は必要」として、「道としてできることはやらなければならないが、問題は費用より時間だ」とスケジュールの厳しさを指摘する。
道道として整備する場合、10億円を超える事業は大規模事業評価を受ける必要がある。直近の評価は19年4―5月。その後、道による道道昇格の判断、市による一連の調査委託を19年度内に終えなければ、市が目指す20年度着工は難しい。
さらに、事業評価では道道整備の妥当性や費用対効果が問われる。これまで、球団側や市は「北海道のシンボル」「北海道の公共財」と地域振興への貢献をアピールしてきた。しかし、基本的には一企業のための道道新設。プロ野球の試合がない期間や冬季など利用のむらを含め、どのように評価されるか疑問は残る。
BP予定地周辺には国道274号、道道栗山北広島線(大曲通)、北広島IC、輪厚スマートICがあり、アクセスに恵まれた立地だ。だからこそ、税金を投じて道路を新設する根拠は明確に示さなければならないだろう。