京都市は、京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略を来年2月頃までにとりまとめ、国に提案する。
市は24日、山科の未来を語る懇談会の初会合を開き、検討を開始。市は「利便性の高い場所に約10万uの広大な敷地の京都刑務所がある。この敷地を山科のため、京都市のために活用させていきたい。まちづくり戦略を作成し、敷地の有効活用の検討を国に提案し国の取組を促したい」と懇談会の趣旨を説明した。
今後のまちづくりの方向性を実現するにあたり、山科駅前エリア、京都刑務所周辺エリア、山科区東南部エリア、山科団地エリア、新十条通沿道エリアの5エリアを設定。まちづくりの方向性案として、▽山科駅周辺のより一層の活性化▽東西(地下鉄、JR等の鉄道、三条通、国道1号等の幹線道路)+南北(地下鉄、外環状線)のT字型のまちの構造を活かした活性化▽山科駅周辺以外のにぎわい創出拠点の形成▽子育て世代など新たな定住者を呼び込む取組▽新十条通北部、名神高速道路南部に点在する低未利用地の有効活用に向けた方策の検討▽31年4月からの新十条通の無料化、国道1号バイパス(京都市〜大津市)建設構想に向けた検討といった今後の変化を見据えた検討などを示した。
事業者(企業・大学・各種団体等)へのヒアリングでは、活用の方向性について「戸建て住宅・マンションも含めて、住宅開発の意欲は極めて高い」「商業施設は山科区ではオーバーストアとみられ、刑務所敷地の活用でも近隣住民向けのネイバーフッド型ショッピングセンターは成立しうるが、大型ショッピングモールやアウトレットは難しいのではないか」「適正な開発規模は敷地面積で約1fとみられる」「産業団地を創出し、研究所等を誘致するストーリーは方向性としてはある」などの意見があった。
市が28年10月に実施したアンケート結果(18歳以上の山科区民3000人対象で回収数971)によると、山科区に京都刑務所があることについての設問では「現状のままでよい」が200(20・6%)、「誘致するものによっては現在の場所から移転してもよい」が376(38・7%)、「移転させるべき」168(17・3%)、「どちらともいえない」134(13・8%)、「無回答」93(9・6%)となっている。
今後の検討スケジュールは、10月の第2回懇談会において、京都刑務所敷地の具体的な活用案など5つのモデルエリアの活性化の方向性を盛り込んだまちづくり戦略(素案)を示し、年内のパブリックコメントを経て、31年1月頃の第3回懇談会でまちづくり戦略案を固め、同年2月頃にまちづくり戦略を作成する予定。
なお公募型プロポーザルの「京都刑務所敷地の活用を核とする未来の山科のまちづくり戦略(仮称)策定業務」は地域計画建築研究所(アルパック。京都市下京区)が担当。