北海道建設新聞社
2018/08/27
【北海道】木質バイオ利用量2割増 道内17年度過去最高の109万m³
道内で再生可能エネルギーの原材料となる木質バイオマスの利用量が増加している。2017年度の利用量は108万9000m³と前年度を23.1%上回った。大規模木質バイオマス発電所が複数稼働したことから大幅に伸びた。一方、需要増加により原料材の価格が高騰するなど課題が生じている。道は利用が進んでいない林地未利用材の活用を促し、原料の安定供給を図りたい考えだ。
道水産林務部のまとめによると、17年度の道内木質バイオマスの利用量は、108万9000m³と過去最高を記録。内訳は未利用材が前年度を58.6%上回る70万1000m³、建設発生木材が25.9%減の16万6000m³、製材工場端材が1.4%増の22万2000m³となっている。道が26年度までの目標として掲げる127万6000m³に迫る勢いとなっている。
道内では17年度末現在、発電施設33基が稼働している。16年12月には道内で最大の約26万m³を利用する紋別バイオマス発電、17年4月には約7万m³の苫小牧バイオマス発電など大規模発電所が稼働し、利用量を大きく引き上げた。
ことし8月に白糠町内で神戸物産の発電所が整備されたほか、18年度以降も複数箇所で大規模発電所の整備が予定されている。道水産林務部林業木材課は「大規模発電所の稼働が今後も相次ぐ予定。木質バイオマスの利用は今後も増加していく」とみている。
■道は原料安定供給体制構築へ
一方で、急な需要増加により、原料材の価格高騰が生じている。道では、原料材を安定的に確保するため、伐採作業で発生する林地未利用材の活用を促している。現在、林地未利用材は集荷・搬出にコストがかかり、利用が進んでおらず、全体の1割程度にとどまっている。道では「林地未利用材集荷システム実証」を行い、収益性確保やコスト削減など経済的な効果を検証し、効率的・安定的に集荷し供給できる体制の構築を図るほか、セミナーや講演会を開催し、先進的な取り組みを普及させ、林地未利用材の活用を進める。
洪水時の流下能力を確保するため、河道内樹木の活用も検討している。現在、廃棄処分している枝や末木の部分などの木材についても売り払い、資源化への流れを構築しようと試みている。16年度は札幌建管でモデルとなる取り組みを実施し、幹と枝を合わせて700空m³を見積もり合わせで売却。17年度は旭川と網走建管で実施し、5700空m³を売却した。今後、さらにモデルを拡大し、有効利用の可能性を探る。