徳島市は、JR徳島駅西側駐車場に計画している「新ホール整備事業」について、同敷地での整備を断念した。22日に開いた中心市街地活性化推進本部で遠藤彰良市長が正式に現行計画の見直しを決定した。また、新たな候補地として徳島町城内1の文化センター敷地約4538平方bを挙げ、今後整備の是非について判断を急ぐことにした。順調なら12月の市議会定例会(事前委員会)までに方向性を固め、議会に報告することにしている。
駅西側駐車場は駅周辺のまちづくりや交通アクセスの利便性、公共交通の利用促進などの点から建設候補地としてメリットは大きいとしながらも、市は現行計画を断念した主な理由に、約141億円(以下税込み)に膨らんだ概算事業費と開館が2028年度以降にずれ込んだ整備スケジュールの長期化を挙げた。もともと遠藤市長の「事業費は100億円以内」とする考えがあった点もあるが、何より市民や文化団体関係者から一日も早い音楽芸術ホールの整備要望に応えられない点(当初の23年度開館からさらに5年ほど遅れる点)が決め手となった。
6月議会で概算事業費と整備スケジュール変更の報告以降市は、専門家や関係者と協議し、事業費の抑制や整備スケジュールの短縮を検討するとともに、文化団体等から配置プラン(案)について意見を求めていた。地下埋設物などの補償対象物件の移設経路などを抑制するなどし、土地整備費を約3億円削減し、再検討後約138億円とした他、整備スケジュールについても各工程の見直しで1年程度短縮できる見通しを出したが、抜本的な見直しに至らなかったと結論付けた。また、文化団体等のヒアリングでも独立したリハーサル室がないなど、設計の自由度の低い敷地内でまとめた配置プラン(案)に難色を示す意見も多く、これら意見も踏まえ総合的に判断した。
今後は文化センター敷地の候補地としての検証を急ぐ。検証に当たっては候補地を検討した有識者会議(新ホール建設候補地検討会議)の意見も再び求めることにしている。
会合後に遠藤市長は「文化センター敷地は公有地である点で事業費の抑制が図れる」と期待を寄せた他、整備スケジュールも「当初計画の23年度開館に遅れることのないようにしたい」と意欲を示した。一方、敷地面積は駅西側駐車場よりさらに300平方bほど狭い点、文化センター建屋の解体撤去後に残る杭や法規制の問題点なども認識しており、有識者会議や専門家の意見も踏まえ、12月議会までに新候補地での整備を判断することにしている。
提供:建通新聞社