愛知県建設部は、河川整備計画流域委員会を開き、豊橋市を流れる紙田川の河川整備計画の策定に向けて、計画の方向性を示した。高潮堤の嵩上げ、河床掘削、河道拡幅などの実施を盛り込んだ。
紙田川は、豊橋市東赤沢町から田原湾に注ぐ延長3・9`の2級河川。流域では、台風に伴う大雨などにより浸水被害が発生しており、近年では09年10月の台風18号に伴う高潮で床上浸水被害を受けた。これまでに、河口〜0・4`付近と、1・6〜3・6`付近でおおむね河道改修が完了している。
洪水対策では、河口〜豊橋鉄道橋付近と、河内橋付近〜上流端付近は、年超過確率5分の1の規模(毎年、1年間にその規模を超える洪水が発生する確率が5分の1)の流下能力を有している。一方、豊橋鉄道橋〜河内橋の区間では流下能力が不足している。
高潮対策では、伊勢湾台風の復旧事業で、計画高潮堤防高(T.P.3・5b)で整備されてきた。しかし、伊勢湾台風規模の高潮潮位を一部見直したため、これに対応した堤防の嵩上げが必要となっている。
地震・津波対策では、堤防の耐震点検の結果、地震による液状化を想定した沈下後の堤防高が、津波遡上(そじょう)水位よりも低くなる箇所がある。このため、堤防の耐震対策も必要だ。
こうした状況を踏まえ、河川整備計画の目標では、洪水対策については、年超過確率5分の1の規模の降雨による洪水を安全に流下させる整備を行うとした。高潮対策は、堤防により、一部見直した伊勢湾台風規模の高潮による浸水被害を防止することとした。地震・津波対策については、施設計画上の津波(河口が位置する地域海岸における設計津波の水位T.P.3・1b)に対し、堤防の耐震対策など必要な対策を実施することとした。
具体的な整備には、河口〜丸山川合流点付近の延長0・6`の区間の両岸について、高潮堤の嵩上げを行うことを盛り込んだ。また、豊橋鉄道橋〜河内橋の延長0・6`の区間では、河床掘削、河道拡幅、橋梁改築を行う。河口〜1・6`の区間の左岸については、耐震対策を実施する。
同部は今後、河川整備計画の骨子を作成し、住民アンケートを10月ごろ実施する予定。アンケート結果を踏まえ、河川整備計画案を策定する。
提供:建通新聞社