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建設経済新聞社
2018/08/23

【京都】総合評価で地域特性反映検討 役務等で府内企業優先発注も 入札制度等検討委に報告

 京都府は22日、30年度第1回入札制度等検討委員会(委員長・楠茂樹上智大学法科大学院教授)を開き、予定価格の事後公表拡大のアンケート結果、総合評価競争入札の評価項目の検証及び見直しの方向性などについて報告した。
 府は事後公表の拡大の取組について、予定価格2500万円以上の土木工事の一部として土木一式工事U等級を対象とし8件で試行。また予定価格2500万円以上の舗装工事の全ての9件で試行した。
 アンケートは府内4ブロックの全てで、事後公表案件に参加した者、参加しなかった者を対象に実施。有資格者178者に対し、152者(85%。事後公表案件に参加した者90者、参加しなかった者62者)に送付し、82者(事後公表案件に参加した者55者、参加しなかった者27者)から回答を得た。回収率は53・9%(事後公表案件に参加した者61・1%、参加しなかった者43・5%)。
 アンケート内容は▽会社規模(社員数、技術社員数、事務社員数)▽積算技術を有する社員数▽これまで、今回工事の積算状況(自社、委託等)▽事後公表の拡大を望むか否か▽事後公表に参加しなかった理由、拡大の際の課題(参加しなかった者のみ)。
 予定価格の事後公表拡大のアンケート結果によると、事後公表に入札参加した者については、事後公表の拡大に賛成が26者(47・3%)、反対が29者(52・7%)だった。賛成の主な意見は「くじ引きが少なくなるため」「技術力が適正に評価されるため」「本来、事後公表であるべき」。反対の主な意見は「体制、技術、費用面で困難」「最終的にくじ引きになるため」「手間がかかるため」。
 事後公表に入札参加しなかった者については、事後公表の拡大に賛成が9者(33・3%)、反対が14者(51・9%)だった(4者は「どちらでもよい」又は未記入)。賛成の主な意見は「くじ引きが少なくなるため」「技術力が適正に評価されるため」。反対の主な意見は「体制、技術、費用面で困難」「最終的にくじ引きになるため」。
 予定価格2500万円以上の土木工事の一部について「事後公表により技術力が評価されることや、本来、事後公表であるべきとの意見もある。一方、事後公表に否定的な意見や、事後公表であるため参加を見送った者もいることなどから、全面的に事後公表とはせず、少し対象件数を増やしながら、引き続き試行していきたい」、予定価格2500万円以上の舗装工事について「舗装工事は比較的積算が容易であり、事後公表を望む声も多く、否定的な意見が寄せられることはなかった。このため、引き続き事後公表を試行する」とした。
 入札状況の分析を踏まえ「入札方式によらず、全体的に落札率は最低制限価格に近く、激しい価格競争が行われていると推察」「特に土木一式工事、舗装工事では参加者も多く、最低制限価格近くで多数の抽選となっており、より熾烈な競争が行われていると推察」「一方、総合評価でも最低制限価格付近で競争が行われているが、抽選は少なく価格以外の評価差が落札につながっていると推察」し、「総合評価の課題(入札期間の長期化、事務負担の増大、受注者の固定化)に配慮しつつ、案件増を検討する」と方向性を示した。
 18年度から総合評価を適用する中で、各企業の取組により加算点の高得点化が進み、技術評価点の高止まりがみられ点数の固定化の傾向がみられると分析。現状について、府下全域(4ブロック)で同じ評価項目を採用(→雇用状況や災害対応について地域特性が反映できていない)、土木工事と舗装工事をほぼ同じ評価項目で実施(→舗装工事の専門性を十分に評価できていない)とし、地域の実情を考慮した様々な評価が可能な制度とする見直しの方向性を示した。
 今後は、@現状分析・検証(固定化している項目の抽出)A見直しの検討(▽評価項目、配点等の見直し▽地域の特徴に応じた評価項目の設定)B舗装工事における専門性の評価を行う予定。
 役務等業務委託における府内企業優先発注の検討についても報告。
 建設工事は府内企業への発注を原則とする、物品調達は府内中小企業の受注機会拡大を図ること等を公契約大綱に明文化しており、「役務等業務委託のうち、府内企業優先発注とすべき対象業務を検証の上、公契約大綱への明文化を検討することとしたい」と考えを示した。