東京都建設局は、建設現場の生産性向上を目的に「書類削減モデル工事」を試行する。隅田川右岸の修景(テラス)工事を対象に、受注者に提出を求める工事関係書類45種類のうち5種類を削減するとともに、5種類を簡素化する。9月下旬に契約手続きを開始し、2019年2月末までの工期で進める工事の中で、削減・簡素化の状況や課題を整理し、他の工事で同様の取り組みが可能か検討していく。
同局では工事関係書類の簡素化に向けた取り組みを進めているが、案件ごとに施工内容や必要な書類が異なるため、一律に簡素化を進めることは難しいのが実情。そこで、当初から工事を指定し、書類の削減・簡素化の考え方を整理した上で、具体的に削減などが可能な工事関係書類を発注図書に明示するとともに、提出が必要な書類を明確化し、受注者の不要な書類作成を防ぐことにした。
試行案件は江東治水事務所が所管する「隅田川(千住大橋下流)右岸修景工事」。荒川区南千住8丁目地内の隅田川右岸で、延長約270bにわたってテラスを整備する。発注規模は土木業種グループAの「B01」(税込み予定価格1億6000万円以上2億5000万円未満)。
周辺で同種工事を実施しているため、書類削減・簡素化に関する取り組みを他の工事と比較することが可能なことや、地中工事や特殊工事がないため保存すべき書類が少ないことなどから試行対象に選定した。
今回の試行で削減する書類は▽工事着手届▽下請負届▽主要資材発注予定報告書▽材料搬入予定調書▽コリンズ登録内容確認書―。他の書類や届け出で確認が可能な他、主要資材と材料搬入に工場検査を必要とするものがモデル工事に含まれないため削減する。
また、簡素化するのは▽現場代理人及び主任技術者等通知書▽各種報告書▽建設業退職金共済制度加入確認書▽施工計画書▽使用材料承諾願(監督・検査上不要なパンフレットなどの添付を削減)―。「経歴書の提出を必要な場合に限る」「店社印の押印を求めない」「施工計画書の必須掲載項目を厳選する」などの対応によって簡素化する。
さらに、工事情報共有システムを活用して提出する書類については、電子データと紙との二重提出をしないこととする。
提供:建通新聞社