「文化施設もスポーツ施設も整備しなければならず、順番を考えながら進めている。県立野球場の問題意識は持っている」―。谷本正憲知事はこのほど開かれた県関係国会議員との県政懇談会の席上、県立野球場の建て替えを求める馳浩衆議院議員にこう答え、理解を求めた。
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1974(昭和49)年に建てられた県立野球場(金沢市北塚町東220)は、両翼91・5メートル、中堅122メートル、収容人員1万7126人で、内野がクレー、外野が天然芝、照明設備が6基設置されている。
県では建設以来、ナイター照明設置、内野スタンド一部増設、スコアボード電光表示化といったグレードアップのほか、内野スタンドベンチ改修、選手用ロッカー改修、バリアフリー化など累計約20億円を投じて改善に努めているものの、施設自体の老朽化が進んでいることや、他県の大型球場と比べて両翼が不足していることから野球関係者や議会側から改善を望む声があがっている。
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「他県の例を見ると100億円を超える規模の予算が必要」―。16年12月15日に開かれた県議会予算委員会で谷本知事は、現在のプロ野球標準に合わせて県立野球場を改築した場合、内外野スタンド観客席を少なくとも3万人規模、本塁からの両翼フェンスまでの距離を99メートル以上―を満たすことが求められるして、その事業費を100億円超と見積もった。
一方で、県としてはスポーツ振興策としてすでに総合スポーツセンターを整備したこと、差し迫った県政の重要課題として県立中央病院、県立図書館の改築、北陸新幹線敦賀延伸を挙げ、県立野球場については「今後の財政状況も見極めながら、少し長いスパンで慎重に検討させていただきたい」と答弁していた。
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県の大型営繕事業は現在、県央土木総合事務所等移転のほか、2020年の東京五輪を見据えての東京国立近代美術館工芸館、金沢城公園鼠多門・鼠多門橋復元、金沢港クルーズターミナル、金沢港上屋、兼六駐車場建て替えが進行中。これに加え県立図書館移転、金沢城二の丸御殿調査検討委員会の設置が決定しており、さらには老朽化した教育施設、県有施設の改築問題がある中、100億円を超える県立野球場建て替えについて知事がどう政治判断するのかは全くの未知数だ。