水資源機構は9日、2018年度に新規着手した早明浦ダム再生事業について、適切な事業執行の観点からコスト縮減や実施状況などを審議する「早明浦ダム再生事業費等監理委員会」の初会合を高知県土佐町で開いた。委員からは、「工程管理をしっかり行い全体の事業費管理に努めること」「先行事例を参考に構造的な検討や仮設備関係も含めさらなるコスト縮減についてしっかり検討していくこと」といった意見・要望が出された。
委員会は、武藤裕則徳島大学大学院教授を委員長とし、那須清吾高知工科大学マネジメント学科長、箱石憲昭土木研究所水工研究グループ長、瀬尾守徳島県県土整備部長、福田敬大高知県土木部長の5人で構成。コスト縮減策の具体内容や事業執行内容について審議する。
早明浦ダムは高知県本山町と土佐町にまたがるダム高106b、堤頂長400bの重力式コンクリートダム。総貯水容量3億1600万立方b、有効貯水容量2億8900万立方bで、四国4県の水の安定供給に貢献している。しかし、1975年の完成後に計画最大流入量を超える洪水が4度発生している他、吉野川沿いで度々洪水被害が発生しており、ダムの治水機能向上が求められている。
そのため水資源機構では、現状の利水安全度を確保しつつ、不特定補給の運用を見直すことに伴い利水容量から洪水調節容量に振り替えることで容量を確保、さらに予備放流方式を導入することで現況の洪水調節容量9000万立方bから1億0700万立方bに増大させる同機構としては初めてのダム再生事業に着手する。
現在の洪水貯留準備水位である標高329・5bから、再生事業後は326・8bと水位が低くなるため、不足する放流能力を補う放流管を増設する。計画では、主放流設備として口径4・8bの放流管を3条、幅3b×高さ3・8bのゲート室を3門設置する考え。
期間は18〜28年度の11年間で、総事業費約400億円を見込む。18年度は事業地周辺の地質調査、環境調査、測量・設計などを実施する。
提供:建通新聞社