国土交通省大洲河川国道事務所は、8月3日に閣議決定された予備費から3・3億円で肱川における緊急対応を行うと発表した。早期に治水安全度の向上を図るため3日、河道の掘削および樹木の伐採に着手した。他の緊急対応では、東大洲地区など暫定堤防7カ所で大型土のうによる緊急的な嵩上げを実施しており、今後も段階的に嵩上げを行う。
予備費を充当するのは、本出水で堆積した河道内の掘削と樹木の撤去。大洲市慶雲寺地先(約500b区間)や高河原地先(同)、東大洲地先(約400b区間)に堆積した土砂の撤去、新谷地先や白滝地先での樹木伐採により、河川の流下能力を回復させる狙い。3日から取り掛かっている。
予備費による緊急対応の他にも、被災直後から応急仮復旧のハード対策に取り組んでおり、今後は本復旧へと移行していく。
堤防法崩れ・クラックでは、被災箇所をシートで覆い雨水の浸入を防止、崩壊した原因を調べるため地質調査を実施中。災害復旧を申請中で、採択されたら崩壊メカニズムを把握した上で施工工法を選定し、発注する。
鹿野川ダム貯水池では地滑り箇所の応急対策を完了した(7月27日)。雨水対策として排水シート張りなどを終え、引き続き本復旧に着手し、安全度を段階的に引き上げる。本復旧の具体策は検討中だが、8月下旬から崩壊土砂の排土、9月中旬から集水井・集排水ボーリングにより地下水を排除、以後コンクリート杭工による地滑り変動の抑制に掛かるとみられ、災害申請の採択後、速やかに発注となる。
東大洲など暫定堤防7カ所では大型土のう、盛土により緊急的に嵩上げを実施中。対象は白滝、豊中、八多喜、春賀、伊州子、阿蔵、東大洲の7地区。2018年度以降、再度の災害を防止するため段階的に嵩上げを実施する。
事務所によると、まずは05年9月の洪水で被災した高さまで早期に嵩上げ。東大洲では、現況から70aの高さを確保するなどといった措置を18年度中に完成させる。その後は27年度をめどに現行整備計画に基づく対応、それ以後は次期整備計画以降による嵩上げを実施することになる。
提供:建通新聞社