浦建築研究所(浦淳代表取締役)は、ドイツ連邦政府が再建を決め、ベルリン王宮内で欧州最大級の文化施設となる「フンボルトフォーラム」内に設置される「ベルリン国立アジア美術館茶室設計コンペ」で最優秀案に選定されたことを受けて、3日、金沢市役所に山野之義市長を表敬訪問し、報告した。
表敬訪問には浦氏のほか、今回の設計コンペに協力した茶道裏千家今日庵業躰の奈良宗久氏、陶芸家の中村卓夫氏、漆工の三代・西村松逸氏、金属造形作家の坂井直樹氏が同行した。浦氏がコンペに参加した一連の経緯などを説明し、「11社の応募があったが、破壊と創造が繰り返されたベルリンで平和を守っていくイメージと、アートやオブジェとしての茶室、禅を組み合わせた新しい思想で『ゆらぎの茶室』として表現できた」と述べ、「工芸を建築的に結びつけることができ、新しい価値、精神性が形になったのではないか」と強調した。
奈良氏はドイツと茶道のこれまでのつながりを紹介した上で「いい提案ができ、ベルリンからも高い評価を受けている。オープニングが楽しみ」と述べ、中村氏は「工芸建築の第一号が海外で誕生する。金沢の建築文化がキーワードになっている」と指摘した。西村氏は「これまでの茶室と違う新しいものをつくりたいという点で一致し、浦氏が建築的にまとめ上げることができた」と述べ、坂井氏は「ここでできる新たな空気感をぜひ体験してもらいたい」と期待を寄せた。
山野市長は「世界に向けて発信できる建築文化の象徴になる。オープニングセレモニーをやってもらいたい」と海外コンペでの快挙を称えながら、金沢市としても高い関心を示しているとした。
浦建築研究所では来週に現地を訪れ、10日にも正式に契約を締結する。完成は2019年9月ごろの予定という。