石川県土木部河川課は、水位周知河川に指定済みの県内28河川のうち、犀川、浅野川、前川、八丁川、鍋谷川における新たな洪水浸水想定区域図を作成し、公表した。見直しにあたり、国が示す想定最大規模の降雨としたことで、5河川いずれも従来より浸水範囲、浸水の深さが大幅に広がった。
従来の洪水浸水想定区域図(08年度までに完成)は、対象降雨が河川改修における計画規模の降雨「50〜100年に1回降る雨」だったが、見直しでは「1000年以上に1回降る雨」に改め、北陸ブロックは国が示した11(平成23)年7月の新潟・福島豪雨において、新潟県三条市で記録された48時間雨量904ミリメートルを想定し、河川氾濫により浸水が想定される区域や、水深などを算出した。
5河川の新たな洪水浸水想定区域図(想定最大規模)は、浸水深を0・5メートル未満、0・5〜3メートル未満、3〜5メートル未満、5〜10メートル未満の4段階で色分け。また、今回の見直しに合わせた新たな追加情報として、浸水深が0・5メートル以上となる時間や範囲を色分けした図(浸水継続時間)のほか、河岸が侵食された場合や、氾濫流によって家屋の倒壊、流出が見込まれる図もそれぞれ作成した。
板屋英治土木部長は7月26日に開かれた県議会環境農林建設委員会で、「今回公表した区域等の周知に努めるとともに、残る23河川についても順次、見直しを進める」と述べた。県が作成した5河川の洪水浸水想定区域図を基に、今後、市町において避難場所等を掲載した洪水ハザードマップの見直しが実施されるとした上で「大規模水害時の洪水避難体制の充実強化を図っていく」と強調した。八田知子委員は集中豪雨時に一級河川梯川の支流、鍋谷川や前川で水が流れにくくなる「バックウォーター」現象が発生した場合、支流側の堤防が決壊する恐れがあると指摘し、板屋土木部長は「前川、鍋谷川の改修は河川整備計画に基づき、着実に進めている」と答えた。