金沢市は、金沢歌劇座におけるMICE(国際会議や学会、展示会等)機能の強化に向け、近く調査・検討作業に乗り出す方針だ。
金沢歌劇座(下本多町)は1962年、金沢の観光産業や文化の振興を目的とした「金沢市観光会館」として創設。以来、コンサートや発表会など様々な催しが開かれる多目的ホールとして使用され、2007年に現在の名称に変更した。
施設はSRC造地上5階地下1階建て延べ1万530・37平方メートルで、敷地面積は9805・42平方メートル。県内最大となる1919席の大ホールを設置する。金沢ゆかりの建築家・故谷口吉郎氏監修のもと、日建設計が設計を担当した。10年には市が大規模改修・補強工事に着手しており、舞台機能の向上や楽屋の増築ほか、耐震化が図られた。
MICE機能の強化をめぐっては、16年11月に開かれた金沢経済同友会と山野之義市長との意見交換会で同友会側が提案。同友会側は隣接する金沢ふるさと偉人館を含めた改築案を提示した。
こうしたことを受け、市は昨年度、音楽ホールの稼働状況などの調査に着手。今年度は施設配置や交通渋滞対策、周辺への影響などを調査し、課題を整理した上で、基本構想を取りまとめたい考え。整備手法に関しては改築も含めて検討する方針で、工事期間中の代替機能についても検討する。課題の整理にあたっては、谷口氏監修の建築作品であることから、有識者から意見を聞く場の設置も検討している。
山野市長は市議会3月定例月議会の一般質問で、「現在の敷地だけでは必要な規模での整備には課題が大きい。隣接地などの活用についても検討していかなければならない」と述べ、施設裏手にある公用車駐車場やふるさと偉人館などの活用を検討する方針を示している。さらに、「これまでの改修において谷口先生の外観デザインを活かしてきたことを踏まえ、基本構想の策定にあたっては必要に応じて(息子の)谷口吉生先生の意見を伺うことも考えていかなければならない」と話している。