トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(東京)
2018/08/03

【東京】高規格堤防、国・共同事業者の役割明確化へ

 国土交通省関東地方整備局は8月1日、宅地整備を伴う高規格堤防の整備に向けて、学識経験者で構成する「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」(座長・清水義彦群馬大学大学院教授)の初会合を開いた。堤防を整備する国と宅地開発などを行う共同事業者、地権者が連携する枠組みを念頭に事業を円滑に進めるための方策を検討。これまでの整備事例を踏まえ、特に地盤強度の確保に関する国と共同事業者の役割分担や事業の進め方など、あらかじめ取り決めておくべき事項をまとめる。
 首都圏で高規格堤防の整備を計画しているのは、江戸川(22`)と荒川(51・9`)、多摩川(15・3`)の合計約90`。このうち、暫定整備を含めても整備済み延長は10・9`にとどまっており、未整備区間の背後地には戸建て住宅を抱えるエリアが多く残っている。このため、国交省は高規格堤防の整備で生じる国有地を民間事業者が活用できるよう、河川占用許可の運用を見直すなど、民間事業者による開発と高規格堤防の整備を一体的に行える環境整備をさらに進めていく方針だ。
 この日の初会合では、土地区画整理事業と一体的に整備したケースの中にあった、地権者への引き渡し直前に、共同事業者が地盤を調査したところ、所定の地盤強度(1平方b当たり30`ニュートン)を満たしていないことが判明した事例を紹介。その上で、国と共同事業者、地権者の連携を推進していく上での今後の検討課題として、▽原地盤と盛土の双方についてどれほどの強度を、どれだけの範囲で確保するべきか▽地盤強度の確認の方法や時期、実施主体を誰が担うべきか▽強度確保に向けた工法・対策範囲―などを挙げた。
 関東地整は今後、首都圏の都県や区市に対し、区画整理事業に関するアンケート調査を実施するとともに、地盤強度に関する目標の設定や調査方法、引き渡し条件などの事例を収集。これらの調査結果や事例も参考にして対応策をまとめる。

提供:建通新聞社