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建通新聞社四国
2018/07/31

【徳島】鳴門市 第2回新庁舎基本計画有識者検討委

 新庁舎の早期整備を目指している鳴門市は26日、外部有識者で構成する「新庁舎建設基本計画検討委員会(委員長・田中弘之鳴門教育大学副学長)」の第2回会合を市役所で開き、初会合以降の協議結果や新庁舎の導入機能、規模、事業費などについて議論した=写真。
 7月23日まで実施していた市民アンケートの整理ができていないため、大きな進展は見られなかった。まず市は初会合での委員意見などを踏まえ、現庁舎敷地など4カ所の他に、新たに市有地以外の敷地から4カ所を抽出し、意見を求めた。いずれも市有地ではなく、関係者の提案を基に抽出したものだが、市は市有地(前回会合で示した4候補地)との比較検討で、いずれも用地取得による事業費の増大や用地交渉による事業期間の長期化などを理由に「実現性は難しい」と結論付けているが、候補地については市民アンケートでも意見を求めていたため、本格的な議論は次回以降に持ち越しとなった。
 また、新庁舎建設の基本的な考え方を示す基本方針を▽誰もが利用しやすく、質の高い市民サービスを提供する▽防災拠点にふさわしい、安全安心な▽市民がつどい、親しまれる▽経済的で将来の変化に対応できる▽環境にやさしく、周辺環境と調和した−庁舎に整理。この五つの基本方針を基に10項目の導入機能を設定する考え(基本計画策定者の提案)も示した。
 10項目は@窓口・相談AユニバーサルデザインB防災・セキュリティーC耐震・浸水対策D情報発信・交流E議会F執務Gライフサイクルコスト縮減H環境負荷の低減I周辺環境との調和・歴史の継承。地震に強い免震構造設計や備蓄倉庫、ICT化、多言語案内表示、カフェコーナーやコンビニの設置、自然エネルギーの活用などの他、グリーン庁舎やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の導入などが盛り込まれている。
 委員からは、「ユニバーサルデザインについては使いやすさをシミュレートし、チェック機能を入れることを検討すべき」「市民が集まるため、バスターミナルの設置が可能か検討してほしい」「備蓄倉庫などは平時も活用できるよう工夫を」などの意見があった。また、故・増田友也氏の建築物(現庁舎)を残す方法について「企業の提案や市民からの意見を一度整理する必要がある」といった意見もあった。
 この他、庁舎の規模や概算事業費(建設工事費)の算定について議論。市は、前回会合で有力とした1棟体制案を基に、庁舎の規模をおおむね1万〜1万2000平方bとする他、規模を1万2000平方bとした場合、建設工事費は54億円(平方b単価45万円)とする算定を提示。委員からは「現在の庁舎機能(総延べ1万5000平方b)から1万2000平方bに縮減するなど、公共施設の最適化は図られたとされるが、さらなる検討が必要」「イニシャルコストとライフサイクルコストのバランスが分かる資料が必要」といった意見があった。
 建設候補地を含め、これら検討事案については、市民アンケートや市民会議での意見を踏まえ、次回(8月29日)以降の会合でさらに議論を深めていく。10月末までに建設地や庁舎規模などを盛り込んだ基本計画を策定する。
 現本庁舎は鉄筋コンクリート造3階建て延べ4312平方b。1963年建築で老朽化しており、耐震性能もIs値が0・47と不足している。財政状況が厳しい市は、熊本地震を契機に国が創設した市町村役場機能緊急保全事業が活用できる2020年度の着工を目指している。
 基本計画の策定は大建設計大阪事務所(大阪市西区)が担当している。

提供:建通新聞社