日本工業経済新聞社(埼玉)
2018/07/27
【埼玉】大阪北部地震の事故受け設監協が緊急に講習会開催
6月18日に発生した大阪北部地震でブロック塀が倒壊して小学4年生の女児が死亡するという痛ましい事故が起きた。この事故を受け埼玉建築設計監理協会(田中芳樹会長)は24日、日本大学理工学部建築学科講師の清水泰氏を講師に招き、さいたま市南区の建産連研修センターで緊急の講習会を開催した。至るところに設置されているコンクリートブロック塀の安全性確保に自治体の関心も高く、県内市町村などから90人を超す職員が参加。総勢200人近くが会場を埋め尽くした。
田中会長は「繰り返し起こる悲惨な事故を聞き、まちを歩きながらブロック塀ばかり見てここは大丈夫だろうかとつい目が行ってしまいます。2014年から3回ほどチェックをしてアドバイザーが指摘をしていたそうです。しかしながら事故は起きてしまった。私ども協会員は専門家集団であります。顧問の先生方に協力を仰ぎながら人命に関わる重大な対策の徹底のため、きょうのこの講習会が安心安全に寄与する講習会になればと考えております」とあいさつ。早急に具体的な安全対策に乗り出す必要性を訴えた。
建物だけではない。ブロック塀が危ない――と提唱してきた清水氏は『コンクリートブロック塀調査について』をテーマに講義。ブロック塀は重厚感、安定感があり、防火、防犯上の有効性を持ち、敷地境界としても多く使われている。本来適正に施工すれば壊れないはずが、圧倒的多数の塀に基礎がない。また縦筋、横筋を一定間隔で通さなければならないのに無筋のものが多くあるという。たとえ鉄筋が入っていても、基礎がしっかりしていないとブロック塀が1枚の面として倒れ大事故につながりかねない。
清水氏は「危機意識はあるが、対応が追い付いていない。行政の規制、指導が行き届き、施工技術の教育、研修などを充実させ、許可制度や条例でしばってもらえるようになれば」と参加している自治体職員に対策の強化を求めた。
引き続き第2部として同協会の緕q喬相談役理事が既存コンクリートブロック塀、既存組積造塀の調査報告書について解説。安全を確保するための1次、2次調査、構造計算などのほか、建築基準法の規定によるチェックシートの調査事項や建築学会基準について説明した。
緕q氏は法的な解釈として「持ち主は事故が生じたときには応分の責任を免れない」と注意を喚起。気運の醸成と調査士の合否の重要性を伝えた。