18年建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰に、富山県建設業協会副会長で、高田組代表取締役社長の高田均氏が選ばれた。
多年建設業に精励し、関係団体の役員として業界の発展に寄与したことが認められたもの。「建設業一筋でやってきた。私個人で何をしたかと言えば、会社経営を堅実にしてきたことぐらい。協会のお世話をするようになったのは20年前からだが、副会長の立場にしていただいたことが、今回の受賞に至った一番の経緯」と述べ、「適任者がたくさんいる中、私にとって副会長の立場はすごく重い。建設業はどうあるべきかということを地道にやってきたが、副会長になってからは、これまで以上に協会の活動に注力していると思う」と語る。
業界を取り巻く最大の課題には、担い手の確保を挙げる。「建設業は受注産業。若い人を採用するには、この先の仕事量の確保が見えないと難しいのが現実」と指摘した上で、「協会で実施した会員アンケートでは、7割の社長が自分の代で廃業を考えていることが分かった」と厳しい現状を説く。
少子高齢化で労働人口が減り、担い手確保は全産業共通の課題。「当社も含め建設業はほとんどが中小企業だが、人を大事に育てることに関しては大手にも負けない。中小は自分の子供より大切に育てる」と強調する。
政府が進める「働き方改革」に関しては、「入札契約適正化法の改正、品確法など、これまでは国の政策に何とか対応してきた。働き方改革は、建設業の生き残りの最後の課題で、週休2日制は一番の問題」ととらえる。「当社も週休2日制の取り組みを始めたが、現時点では元請だけがやっても難しい。5年計画で移行できるよう、まずは休日取得率のアップを目指している」と話すとともに、「国、県も週休2日制のモデル工事を発注しており、対応は不可欠。今後、協会内に週休2日制を推進するための勉強会を設け、検討を進める」と説明。
担い手確保・育成に向け、協会では高校への出前講座、新入社員の合同研修会、資格取得支援講座など、様々な対策を講じている。「建設系学科を有する高校の卒業生の進路では、建設会社への就職が増え、これまでの活動成果が現れつつある」と安どする一方、「建設会社に就職した高卒者の2人に1人が3年以内に離職してしまうデータもある。定着のためには、今の若者が仕事に何を求めているのかを理解し、それに沿った育て方を行うことが必要。インターンシップでは、建設業の仕事を見学・体験してもらい、人々の暮らしに不可欠な物を、自分たちの手で作り上げることができる魅力を伝えていく。担い手確保や働き方改革は、建設産業が一丸にならないと実行できない」と力を込める。
◆ ◇ ◆
たかた・ひとし 1956年10月生まれ。61歳。富山市在住。県建設業協会では副会長と富山支部長、暴排委員長。県土木施工管理技士会会長も務める。79(昭和54)年3月に金沢工業大学土木工学科卒。同年4月に高田組入社。88年に取締役、92(平成4)年に専務取締役。96年から代表取締役社長。趣味は、ディープな居酒屋の飲み歩き食べ歩き。富山駅前のお店はほとんど制覇したそうだ。落語と講談、浪曲がお気に入りで、専門誌を定期購読し、日程チェックは欠かさない。