川崎市は、夢見ケ崎動物公園再整備の基本設計と、同公園への民間活力導入調査を総合設計研究所横浜事務所(横浜市神奈川区)に659万5200円で委託した。履行期限は2019年3月15日。同公園の再整備に向けた基本設計では、老朽化した獣舎などについて整備の優先順位付けをし、全体の整備計画の作成、概算工事の算出まで進める。19年度から実施設計に着手する。一方、民間活力導入調査では、他市の先進事例を整理するとともに、採用が可能な取り組みを抽出してもらう。整備計画の作成と並行してPark―PFIなどの手法についても、実績のある事業者にヒアリングし、意向を確認するなど、可能性を模索する。
夢見ケ崎動物公園は加瀬山という標高35bの小高い丘を整備した都市公園(地区公園)。所在地は幸区南加瀬1ノ2ノ1。管理面積約6・6f。小型動物を中心に展示していて、▽間近に動物を鑑賞できる動物園エリア▽慰霊塔や展望施設などが設置されている公園エリア▽自然林が多く残存している里山樹林エリア―の三つのエリアで構成されていて、入園無料。展示動物は57種類294点(18年3月末現在)。年間来園者は約30万人を数える。
しかし、建設から30年以上経過した展示・飼育施設が多く、全体的に老朽化が進行。動物の生態に配慮していない旧来型の獣舎が多く、動物本来の行動を引き出せていない。また展示動物の高齢化や近親交配も進んでいる。
利便性施設などの不足といったサービス水準の低下もみられる。未舗装の広場や段差が生じている園路などにより、ベビーカーや車いすの利用に支障が出ている他、休憩室や授乳室などの利便施設が不足している。飲食施設の来園者ニーズがありながら、園内には自動販売機以外に物販のサービスもなく、来園者が長時間滞在できるようなサービスの提供が不足している。
そこで川崎市では、同公園の特色の一つである入園無料を継続しながら施設の改善やサービスの充実・向上を図るため、今後の方向性を今年3月に「基本計画」としてまとめた。目指すべき将来像は「わくわく、ふれあい、みんなでつくる動物公園」。計画では、主に動物展示を中心とした動物とのふれあい、環境学習などを行う「ふれあい」ゾーンと、イベントや飲食などのサービス、自然を生かした遊びなどを行う「にぎわい」ゾーン」に分け、各エリアを回遊する主要動線を設けるとしている。
提供:建通新聞社