神奈川県は、「県立都市公園の整備・管理の基本方針」の改定素案をまとめた。効率的で効果的な整備と維持管理など、都市公園が抱える課題に対応するため、民間活力の活用(Park―PFI)や、施設長寿命化計画の策定・更新を通じた既存公園の再生などに取り組む内容。今後、素案に対する県民意見の募集を経て、県議会第3回定例会建設・企業常任委員会に改定案を報告。2019年1月に方針を改定する考えだ。
基本方針は、県の総合計画「かながわグランドデザイン」を補完する公園部門の計画。これを基に、各公園の整備・管理計画が定められることになる。現行方針の策定は11年3月。県は改定に向けてこれまで、有識者会議(公園等審査会)などで検討を進めてきた。
改定素案では、県立都市公園の整備・管理に関わる課題を、▽効率的で効果的な公園整備と維持管理▽サービス水準の確保とさらなる向上▽大規模な自然災害への具体的で実効性のある対応―など八つに整理。
これらに対応するため、民間活力の活用や公園再生の着実な推進、災害に対応する防災施設の整備といった24の施策を展開することを示した。
民活導入に関しては、公募設置管理制度(Park―PFI)の活用を掲げた。民間事業者が収益施設と公共部分を一体的に整備する新たな制度で、広場や園路などの公共部分(特定公園施設)の整備に、飲食店や売店などの施設(公募対象公園施設)から得られる収益を充当するのが特徴。さらなる魅力の向上を目指し、各都市公園の設置目的に沿う形で、同制度の活用を検討していく方針だ。
公園再生に向けては、施設の老朽化に対応するコストの平準化や低減を進めるとともに、利用者ニーズを踏まえた取り組みを行う。施策展開の具体例としているのは、公園施設長寿命化計画の策定と更新。事後的な修繕補修から予防保全的な維持管理に転換し、ライフサイクルコストを低減する。利用者ニーズに即した機能変更や、施設集約、効率的な更新手法の検討なども行うとしている。
防災施設の整備は、緊迫する自然災害への対応として行うもの。防災ヘリポートや貯水槽など、これまで整備してきた施設について、適切な維持管理を行う他、機能向上に努める。また、災害時でも誰もが安心して避難できる園路の整備などを進める考え。
県立都市公園は、戦後に本格的な整備が始まった。17年度末現在、開園面積約698f、年間来園者数約1400万人。建物を含め約1万7000の施設が公園ストックとして存在し、更新期限が迫っている施設が多数あるという。
提供:建通新聞社