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北陸工業新聞社
2018/07/17

【富山】建設功労大臣表彰/会活性化へ若い人の入会増を/建築士会前副会長今村彰宏氏/「人との出会いが学びに」 

 18年建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰に、富山県建築士会の前副会長で建築工房すまい・る・スペース代表の今村彰宏氏が選ばれた。
 多年建築設計監理業に精励し、関係団体の役員として業界の発展に寄与したことが認められたもので、「とても嬉しく身に余る光栄だが、良い仲間がいたから活動を続けることができた。みんながいなければ、受賞は絶対になかった」と感謝の言葉を述べる。
 氏が建築士会で積極的に活動を始めたのは35年前の昭和58年、富山で開催された建築士会全国大会がきっかけ。「大会では、バリアフリーに関する研究発表をさせていただいた。青年委員会を中心に、みんなでこしらえたものを、たまたま私が発表したが、何て良い人たちの集まりなんだろうと感じた。これを機に士会で、ずっと活動したいと思った」と説明。「先輩や同期、若い人と多くの方に出会ったが、本当に良い方ばかり。今も全然変わらない。人との出会いで常に学ぶことができる。そういう意味では建築士会は学ぶ場かな」ととらえる。
 建築士会を取り巻く課題には、会員の減少を挙げる。「建築士は設計者だけなく、工務店や行政・教育機関など多様な人がいる。人口減少社会だが、それ以上に受験者が減っており、それでは新しい有資格者が増えない。それが最大の課題」と強調。さらに、「会や建築士をめぐる環境を改善し、発展するには若い人たちの存在が重要。現在の会員は1500名を超えるが、活動の中心を担うのは1割ぐらい。その中の若い人たちが減ると、会の活性化が困難になる。歴代会長以下、役員も努力してきたが、簡単に解決できることではない」と嘆く。
 一方、「会員減少率を全国平均と比べると、富山県は低い。執行部だけでなく、各委員会や各支部で危機意識が共有され、若い人を役員に招くなど、現状維持への努力の賜物。やはり良い人たちの集団であることが、最大の力だと思う」。
 ライフワークは、障害者と高齢者に関するボランティア活動。その活動は、43年前の「障害者のまちづくりの会」発足への関わりにさかのぼる。「そのころの信号機のある横断歩道には段差があった。当時の富山市長にお願いし、市役所と県民会館間の横断歩道の段差にスロープを設けてもらった。それが最初の活動。その後は車椅子用の公衆トイレ、点字ブロックの活動に続いた」と振り返る。
 県の長寿社会の住宅づくり調査研究ワーキング委員のチーフを務め、今から25年前にバリアフリー住宅の手引きを冊子にまとめたほか、県の介護保険制度の委員など、高齢者・障害者に関わる取り組みに汗をかいてきた。「43年間活動してきたが、今はバリアフリーが当たり前。その点では良い時代になった」と目を細める。
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 いまむら・あきひろ 70歳。富山市在住。東京電機大学工学部建築学科卒。林建設工業、地域建築設計、鍋田工業常務取締役を経て、08(平成20)年6月から現職。新建築家技術者集団全国幹事会副議長、県高齢者・障害者福祉生活協同組合代表理事、短大と専門学校で住居学の非常勤講師なども務める。

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