西日本を中心に襲った記録的な大雨を受けて県は12日、公共土木施設の応急復旧費を柱とする「7月補正」18億2300万円を専決処分した。平井伸治知事は「河川や農地など応急がまだ終わっていないところがある。生活に直結する対策を急ぎたい」と述べて当面の予算を確保、今後応急対策に取り掛かる。
災害復旧費に関する補正予算で議会の議決を得る前の専決処分は、一昨年10月の県中部地震以来。補正後の18年度一般会計予算総額は3482億4100万円となった。
これまでに分かっている公共土木施設被害は、県施設が167カ所をはじめ市町村を合わせて199カ所に上り、調査の進展によってさらに被災カ所は膨らむ見通し。
県は建設災害復旧費に当面の応急復旧費3億円を積み増しした。河川維持管理費は、八東川(八頭町大門)など28カ所で河川内に堆積した土砂の除去に2億8000万円を追加。治山は「災害関連緊急事業費」として屋住、尾見、大呂(3カ所)の5地区に1億5000万円を見込んだ。治山施設災害復旧は岩戸地区の法面保護工に3000万円。
港湾災害は鳥取港の千代航路に堆積した土砂8万立方bの浚渫に3億円、港内に漂着した流木撤去に1000万円を充てる。
また、智頭町の農業集落排水施設が被災しており、「南因浄化センター」と「山郷浄化センター」の電気設備や管路などの復旧費1億2000万円を助成する。
12日、平井知事は県議会代表者会議に出席し、専決処分に理解を求め了承された。平井知事は国に災害査定の前倒し実施を要望しており「(専決処分の補正で)査定が終わりしだい、ただちに一部の復旧に取り掛かることができる」と説明。9月県議会に向けては本格的な復旧予算を追加提案し、先議議案とすることも視野に対策を急ぐ考えを示した。
このほか専決処分された7月補正は次の通り。
▽清水川排水機場緊急対策(ポンプ冷却水系統機器設備補修など)1500万円▽単県斜面崩落復旧(市町村助成)2000万円▽治山維持修繕(市瀬・土砂溜めポケットの確保)2000万円▽耕地災害復旧1億円▽小規模農地・農業用施設復旧(市町村助成)5000万円▽林道施設災害復旧2億2800万円▽森林作業路網災害復旧2200万円
日刊建設工業新聞