県内建設業の年齢階層別にみた給与額のピークは、50〜54歳の31万5500円となっていることが分かった。平均は27万3500円で、産業全体の水準を若干上回っている状況。ただ、他産業に比べて賞与等の低さが目立ち、受注に左右されやすい業界の厳しい現実が浮き彫りとなっている。 厚生労働省の賃金構造基本統計調査(企業規模10人以上)によると、県内建設業がきまって支給する現金給与額の平均は、産業全体を4000円ほど上回る27万3500円(48.8歳、勤続12.7年)。階層別にみると、50〜54歳の31万5500円が最も高く、55〜59歳30万2300円、45〜49歳29万8800円−などが続いた。
ただ、気になるのは年間賞与等が産業全体の水準を大きく下回っていることだ。平均額をみると、建設業の36万7000円に対して、産業全体は60万3600円。その差は20万円以上もあり、受注産業の苦悩をうかがわせる。
各階層の増減率も興味深い。産業問わず、給与の上昇は50〜54歳をピークに減少に転じ、60歳を超えるとマイナス率は二桁にまで達する。
建設業の伸び率がバラついている点も見過ごせない。産業全体の数字が示すように、年齢を重ねるごとにその割合は縮小していくのが一般的。だが、建設業の場合は規則性が見られず、20歳代で一桁にとどまっていた伸び幅は30歳を迎えて大きく増加。そうかと思えば、35歳から小幅に転じ、40歳を迎えるとまた二桁の伸びを見せている。資格取得のタイミングなどが影響しているのか、または30、40歳という区切りの年齢を給与アップの適期と考えている企業が多いのか、その理由は定かではないが、いずれにしてもバランスある推移とはいえない。
業界はいま、「きつい・汚い・危険」と揶揄(やゆ)されてきた以前の3Kから、「給与・休暇・希望」と称する新3Kへのイメージ移行を図っている。その一つとなる給与の実情を今の若者たちはどう見ているのだろうか。そこに欠かせないキーワードは「安定」であるように感じる。