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鹿児島建設新聞
2018/07/11

【鹿児島】県の17年度月別工事量/債務負担活用で平準化

月別 県が集計した2017年度の月別工事量で、閑散期と繁忙期の差が少なくなっていることが分かった。5月と12月の工事量を件数ベースで比較すると、16年度600件以上あった差幅は17年度300件余りまで改善。金額ベースでも16年度の32億円から17年度は14億円までその開きが縮小した。債務負担行為の活用等が主な要因と考えられ、施工時期の平準化に向けた好例といえそうだ。

 データは、県土木部工事監査が集計。当該月に施工中の工事件数と完工高(金額ベース=契約額/工事月数)の推移をまとめた。
 件数ベースでみると、16年度は5月(847件)から右肩上がりに増加し、12月には1500件台まで達した。前月比で100件以上増えた月も多く、閑散期と繁忙期の差が目立つ。さらに、3月は災害復旧工事の影響で1800件台まで伸び、金額ベースも4、5月(39億円)から秋ごろまで急増した。
 これに対し、17年度の件数は5月(1174件)から緩やかに増加。前月と比べて100件以上の差があった月は1回(8月→9月)しかなく、金額ベースでも5、6月(59億円)から12月(73億円)まで跳ね上がるような増加はなかった。その差幅が抑制された格好だ。
 17年度に平準化が図られた理由としてまず考えられるのは、債務負担行為の活用だ。16年度は災害復旧等で急増した3月を除いて10億円を上回った月はなかったが、17年度は4月から翌年3月まで毎月安定した債務負担(11〜16億円)の実績があった。
 このほか、16年末の国の補正予算や災害復旧工事の年度端境期(2〜4月)の発注、これらを踏まえた適正な繰越手続きなどもその要因になったと分析できる。

■記者の目
 低調な市町村「発注者の責務に」

 「施工時期の平準化」は、建設業の働き方改革を進める上で見過ごせないキーワードといえる。今回、県が示した月別工事量はその指標としての意味を持つ。
 建設企業にとっては、市町村の平準化に関する状況も気になるだろう。ただ、残念ながらその理解はまだまだ低いように感じる。
 さまざまな制度改革の中で、叫ばれ続けてきた地域建設業の育成。その観点からも、平準化は発注者が取り組むべき責務として受け止める必要がある。

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