愛知県健康福祉部は、あいち健康の森にある健康科学総合センターについて、健康科学館、プール、アトリウムを減築する。減築工事と併せて、特定天井の脱落対策も行う考え。2018〜19年度で設計をまとめ、20年度に着工する予定だ。
これに向けて基本設計を安井建築設計事務所名古屋事務所(名古屋市東区)に委託した。委託期間は19年3月15日まで。
同センターは、基幹設備の老朽化などによる運営経費の増大への対応が課題となっていた。そこで、施設の減築が可能かを検討。健康科学館、プール、アトリウムについて、必要な対策を行うことで減築は可能だと判断した。コスト面でも、減築することで多額の削減効果が見込めるとして、減築工事の実施を決めた。
施設は、▽健康開発館▽健康科学館▽健康情報館▽健康宿泊館▽アトリウム―で構成している。このうち健康科学館は、建物の北西部分の地下1階〜地上2階。面積は8058平方b。
プールは、建物南西の健康開発館の一部となっている。プールを減築するに当たり、健康開発館の西壁面に耐震壁を設置する。
アトリウムは建物の中心に位置し、各館をつなぐ吹き抜けの空間。面積は2012平方b。アトリウムを減築することで残る建物の強度に影響はないが、屋外化されることになるため、アトリウムと接する建物に外壁を設置し、アトリウム部の床の防水、排水溝の設置を行う。アトリウムが各館への動線となっているため、減築に合わせて、東側と西側に新たな出入り口も設ける。また、屋外化した部分にも、健康開発館と健康宿泊館を結ぶ出入り口を設置する。
これらの減築と併せて、特定天井の対策も行う。特定天井は、6bを超える高さにある200平方b超えのつり天井。宿泊館のプラザホール、健康開発館のアスレチックルーム・フィットネスルーム・体育館にあるため、脱落対策を行う。
減築工事にかかる費用は19億2000万円と試算している。工期は22カ月を見込む。
引き続き19年度に実施設計を進め、20年度に工事の入札を行う予定だ。22年度中の供用開始を目指す。
健康科学総合センターの所在地は東浦町森岡源吾山1ノ1。大府市と東浦町にまたがるあいち健康の森の、健康ゾーンに位置する中心的施設。1997年に一部、98年に全館オープンした。施設の規模は鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄骨造地下1階地上11階建て延べ4万0300平方b。
今回の減築を行うことで、20年間で施設管理費・光熱水費24億5000万円の削減が見込まれる。また、減築する建物設備の更新修繕費も9億2000万円削減できると試算している。このため、減築工事費の19億2000万円を差し引いても14億5000万円のコスト削減効果が見込まれるとしている。
提供:建通新聞社