滋賀県はこのほど、昨年度に建築工事の入札が不落となったため再入札を行う新生美術館(現・県立近代美術館)について、有識者らからの意見聴取を踏まえた設計見直し方針を公表。SANAA(東京都小平市)の担当する実施設計の面積や仕様を変えずに整備することを基本とし、情報交流棟を整備せず、民間資金を活用してレストラン棟を整備することや、エントランスのガラス壁面を取り止めるなどの考え方を示した。
ほか▽既存館および増築部の複数箇所(エントランスロビーや常設ロビー)に情報機器を設置▽既存館の創作室や講堂、ラーニング広場、交流・レストラン棟に交流機能を確保▽交流・レストラン棟にレストラン、エントランスロビーにカフェを整備▽現講堂をギャラリー併用が可能となるよう改修▽植え込みの一部を撤去してラーニング広場にするとともに現エントランスに面した外観を一部改修▽エントランスロビーにカフェを設置することにともない、同所に配置予定であったキッズスペースを既存館2階の創作室内に移動する―などとした。
民活導入については、民間の意向を事前に把握するためのサウンディング調査を行い、民間が参入しやすい公募条件を策定した上で公募を行うとした。美術館の開館時間に限定されない交流・飲食の機会が可能となる一方、民間資金での整備のため実現が不確実である課題がある。
今後、同方針に対する有識者の意見を考慮した上、正式に設計変更案として取りまとめ、今月開かれる県議会定例会議で報告する見通し。なお、建築工事の再入札を行うための経費は30年度予算に計上しておらず、再入札を行うには新たに議会に諮って補正予算で工事費を取得する必要があるため、最速の場合で9月補正予算で工事費を取得し、建築工事を再入札し11月議会で契約の承認を求めるスケジュールが想定されるが、現時点では予定の見通しは立っていない。少なくとも、当初示していた2020年の開館より1年以上は遅れる見通し。
提供:滋賀産業新聞