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北陸工業新聞社
2018/07/02

【福井】森俊偉氏意気込み示す/ふくい建築賞の新審査委員長 

 第5回ふくい建築賞の審査委員長を務めることとなった金沢工業大学名誉教授の森俊偉氏。その思いを本紙に寄せてもらった。

 「ふくい建築賞」の審査員依頼の打診があり、福井県土を知るよい機会と快諾しました。また以前、池田町でファームハウスコムニタ、越前町で越前かにミュージアムの設計を為した折、福井県にも建築賞があるとよいとも思っていました。
 福井県建築士会、建築士事務所協会、建築家協会福井地域会の設計3団体を中心に、関連諸団体やマスコミの協賛等を得つつスタートした経緯やその目的と意義の説明を受ける中で、この賞のいくつかの特徴的な点を感じました。
 一つは、永く県土に根差していく建築を求め、広く抽象的な言葉ですが「福井らしさ」を所持する建築を皆で考え、探ってみましょうと働きかけている点。やや閉鎖的にも感じますが、応募資格を福井県内在住の建築士としている点からも、地元の人材育成と、じっくりと福井らしさを育て上げていきたいとする思いが感じ取れました。
 二つ目は、時流に乗った先鋭的なコンセプトとデザイン表現に偏らず、それぞれの関係者(設計者、施主、施工者等)の信念の下に、ソフトとハードの両面において十分な思慮と諸点での実践的な対応策を練った、熱意の籠った建築の構築に期待している点。
 三つ目は、積極的に公開審査方式を組み込んでいる点。現地審査において、設計者、施主、施工者に立ち会いと説明の機会を持ってもらうなど、審査員の一方的な評価と判断に落ち込まないよう図っている。同時に、一般参加も可能な公開最終審査によって市民の建築に対する関心と理解を高めつつ、市民が持つ価値基準を再把握する機会を得るようにも努めている。審査プロセスを公開し、議論し、審議していくことは、審査の評価基準を明確にし、評価意図を伝えていく上でも有効といえます。
 これまでの建築作品審査と少々違った側面もあって、大きな期待と多少の不安を抱いているところですが、多くの応募と参加があって、濃密な議論をする場が持て、福井県の建築文化のより一層の進展に寄与できれば幸いと思い、楽しみにしています。(もり としひで)

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