千葉市は28日、千葉都市モノレール延伸計画再検証業務に係る簡易公募型プロポーザルの審査結果を公表した。優先交渉権者に選ばれたのは、日本能率協会総合研究所(東京都港区芝公園3−1−22)。契約締結後、2019年2月28日までを履行期間としてモノレール1号線、2号線の各延伸計画の再検証に必要な各種分析を行い、費用対効果等を明らかにする。
千葉都市モノレールにおける、@モノレール1号線を青葉病院前まで延伸する計画Aモノレール2号線をJR稲毛駅、JR稲毛海岸駅方面に分岐し延伸する計画の二つの延伸計画について、計画策定当時から社会情勢等が変化しているため、再検証する。参考業務規模は約2000万円(消費税を含む)。
業務内容は、@既存資料による現状把握(上位計画、モノレール計画等、その他)A将来交通需要予測(前提条件の把握、沿線施設利用者数等の整理、予測手法の検討及び選定、延伸予測への対応、需要予測)B事業費の検討C収支採算性の検討D整備効果の検討(費用便益分析、整備効果の整理)E報告書の作成。
将来交通需要調査では、延伸2区間についてパーソントリップ調査結果等を活用し、モノレール駅ごとに発着地ゾーンを特定。平均的な駅勢圏を設定し、将来利用者等の推計を行うとともに、現実的な予測開業年次を定め、利用者数等の需要予測を行う。
事業費の検討では、これまでの想定費用について時点修正を行い改めて事業費を算出。事業費は「インフラ部」と「インフラ外部」に分けられるが、インフラ外部は「千葉市分」と「千葉都市モノレール株式会社分」とを区分し算出する。 収支採算性の検討に関しては、将来交通需要から運賃収入、最新の単価を用いた運営コスト、見直しを行った事業費に基づき試算。その際、現有資産評価情報を入手し、トータルコストの考え方についても十分考慮し、中長期的な視点で試算する。
整備効果の検討では、費用便益分析に加えて、モノレール延伸計画で期待される道路混雑緩和等の予想できる効果、特に既存バス路線などへの影響について検討を行う。
千葉都市モノレールは現在、1号線(千葉みなと〜県庁前間、6駅)3・2kmと2号線(千葉〜千城台間、13駅)12・0kmで営業している。99年3月に現営業区間の中では最後の区間となる千葉〜県庁前が開業し、翌00年には延伸区間となる県庁前〜中央博物館・市立病院前間3・6km(末広ルート)の軌道運輸事業特許を取得し、01年に事業認可を取得した。
しかし、市の財政やモノレール会社の経営悪化もあり、06年の会社再建にあわせて同ルートの事業認可を取り消すとともに、08年に軌道運輸事業を廃止。これを受けて市は、09年に延伸事業計画の凍結を決めた。
そうした中で、12年5月に策定した同市総合交通計画(計画期間12〜21年度)では、凍結している延伸区間について、市の財政状況が好転し事業化の検討が可能になった場合には、事業評価を行い、延伸の是非、ルートや整備手法を含めて総合的かつ客観的に判断するとしている。
同都市モノレールは今年3月に開業30周年を迎えた。モノレール会社が今月発表した17年度決算の概要によれば、当期の輸送人員は1875万2000人で、前の期と比べ71万6000人(定期輸送人員45万1000人、定期外輸送人員26万5000人)増え、6期連続の増加となった。これに伴い運輸収入は33億300万円となり、前の期と比べ1億2100万円増の過去最高となった。
定期輸送人員の増加に関しては、@1km条例圏内の宅地化による人口増加(若葉区)AJR千葉駅との連絡通路効果と推定される、千葉みなと、市役所前、作草部、天台の各駅からの近距離利用者の増加B千葉みなと駅、市役所前駅付近のマンション建設C穴川駅沿線の専門学校(国際理工情報デザイン専門学校)の生徒数の増加などを要因に挙げている。